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 投資信託の低コスト化が進む米国では、先月ついに経費率0%のゼロコスト投信が登場しました。「フィデリティZEROトータルマーケット・インデックスファンド」と「フィデリティZEROインターナショナル・インデックスファンド」です。両投信はいずれも株価指数連動型のインデックス投信で、前者は米国株、後者は米国を除く世界の株式が投資対象です。

「ゼロコスト」で狙うもの

 フィデリティは、株価の上昇が見込める株を選んで投資するアクティブ運用で知られた米国の大手運用会社です。

 しかし、米国ではアクティブ投信からの資金流出が続いています。米国株を対象とするアクティブ投信は昨年まで12年連続の流出超で、その間の累計純流出額は1兆7662億ドルに達しました。

 2つのゼロコスト投信は、フィデリティに証券口座を持つ米国の個人投資家だけが購入できます。さらに同社は、既存のインデックス投信についても手数料を大幅に引き下げました。この結果、手数料を引き下げた大多数の商品で手数料が業界最低水準になったと宣伝しています。

 ゼロコスト投信を前面に出して、インデックス投信で知られるバンガードなどの他社から顧客を奪う戦略が透けて見えます。ゼロコスト投信の収支はマイナスでも顧客の増加につながれば、ビジネス全体としてはプラスという経営判断があると思われます。

 投信の運用手法は、インデックス運用とアクティブ運用に大きく分けられます。

 インデックス運用は、日経平均など株価指数と同じ運用実績(パフォーマンス)を目指します。そのために、株価指数の構成銘柄を株価指数と同じウェートで保有します。

 これに対して、アクティブ運用は、株価指数に勝つこと、すなわち、株価指数を上回るパフォーマンスを目指します。そのために、投資する銘柄を選び(銘柄選択)、独自に資産構成(ポートフォリオ)を構築します。

インデックス投信の急成長

 しかし、株価指数に勝つのはなかなかむずかしいことです。そこで、銘柄選択やポートフォリオの構築にコストをかけないインデックス投信が発達してきました。

 インデックス投信は、規模の拡大で一段の低コスト化が可能となり、そのことが新たな資金流入を呼ぶ好循環の中で急成長してきました。

 米国では、株式に投資する投信のうち、インデックス投信の割合が2000年末の9.1%から17年末の26.6%に大きく上昇しています=グラフ。

 投信を保有する人は、運用管理費用などの経費を負担します。日本では年間の経費が純資産残高の1.5%を超える投信も少なくないのに対して、米国では経費負担のない投信が登場しました。

 日本の個人投資家は現時点でフィデリティのゼロコスト投信を購入できませんが、日本の投信業界に与える影響は小さくないでしょう。何よりも、投信で手数料を取らないというビジネスモデルを示したことは影響が大きいと思われます。

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 担当=DZHフィナンシャルリサーチ・野口文高
 トムソン・ロイター提供のリッパー投資信託情報から

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 このコラムはトムソン・ロイターが提供するリッパー投資信託情報を基に、DZHフィナンシャルリサーチが担当しています

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