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 投資信託の純資産残高は「多い方がよい」と思っている方は少なくありません。本当にそうでしょうか? 過去に投信の販売に携わったこともある私は、こう感じています。「投信ごとに適正な純資産の規模がある」

 純資産が少なすぎる場合は、資金不足で方針に沿った運用が思うようにできないのは確かです。組入銘柄の売買や管理にかかるコストも割高になってしまいます。

 ■大量買いは市場ゆがめる

 ですが、中小型株が多い新興市場や海外の小規模な市場などでは、運用目的に合う投資対象が限られ、純資産が多すぎると考えものなのです。

 たとえば、「DIAM新興市場日本株ファンド」は、買い付け申し込みを2年以上停止中です。この欄で紹介している投信の運用成績上位の常連なので、気になっている方も多いでしょう=グラフ。

 運用会社は、「日本の新興市場の規模および流動性などを総合的に勘案し、投資家利益を優先し適正な資産規模にて運用を行うため」と説明しています。

 投信の資金が、投資対象の市場規模に見合わぬほど多額で買いに入ると、市場の価格形成機能をゆがめてしまいます。また、投資家から集めた資金が十分にある一方、魅力的な銘柄がない場合もあります。投信である以上、運用しなければならず、妥協した投資にもなりかねません。

 ほかに純資産残高が急増した投信の中には、運用方針の範囲内で投資対象を広げて対応したケースもあります。

 たとえば、資金動向で純流入上位常連の「ひふみプラス」は2017年6月から米国株への投資を取り入れています。目論見書に記載された運用方針の範囲で、投資家の資産を「守りながらふやす」姿勢を貫く好例といえます。

 ■純資産残高のチェック点

 しかし、個人投資家が適正な純資産の規模を見極めるのは簡単ではありません。そこで、次の3点に注意して、純資産残高の推移をチェックすることをお勧めします。

(1)募集時に多額を集めた後、徐々に残高が減少している。

(2)純資産の増減が激しい。

(3)純資産残高が増えていても

基準価額が上昇していない。

 (1)は、募集当初だけ販売会社が熱心だったのでは?という匂いがします。(2)では、資金の出入りが激しいか基準価額の変動が大きいかのどちらかが原因で、安定性が低い傾向です。(3)は、「純資産残高=基準価額×総口数」から分かる通り、資金を集めてもそれに見合う値上がりをしていない証拠です。

 投資信託の純資産残高は、運用報告書や投資家向けリポートで簡単に確認できます。ぜひ目を向けてみて下さい。

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 担当=DZHフィナンシャルリサーチ・石原敬子

 トムソン・ロイターのファイナンシャル・リスク部門の名称はRefinitiv(リフィニティブ)に変わりました

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 このコラムはトムソン・ロイターが提供するリッパー投資信託情報を基に、DZHフィナンシャルリサーチが担当しています

トムソン・ロイターhttp://jp.reuters.com/