今回は、日本株を組み入れた投資信託の現状と、2000年代半ばの好況期から現在までの日本株型投信の変遷を見ていきます。
長期の景気低迷に苦しんだ日本は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」への期待感から、少しずつ息を吹き返しつつあります。足元では調整が入っていますが、東証株価指数(TOPIX)と日経平均株価はいずれも約5年ぶりの水準まで回復し、極端な円高傾向も是正されました。
こうした中、上場投資信託(ETF)を除いた日本株型投信の純資産残高は、4月末時点で6.3兆円となり、こちらも約5年ぶりの水準に回復しました。日本株型投信への資金流入も7年ぶりの高水準を記録しています。
日本株型投信と一口に言っても、現在は実に様々な種類があります。投資対象資産こそ日本株ですが、通貨選択型のように為替取引や為替変動による収益の上乗せを見込むものや、基準価格が一定水準に到達すると利益確定のため強制的に償還される「繰り上げ償還条項付き」などが代表例です。プラスアルファの機能付きなので、複雑な仕組みのものが多くなっています。
05〜06年ごろにも日本株型投信の設定が相次ぎました。その時は年4回の四半期決算型など定期分配を行うものが主流でした。高配当銘柄を中心に組み入れ、配当収入のほかに売買益も上乗せしてボーナス分配を行うタイプです。配当金が支払われるのは年1、2回が普通ですが、組み入れ資産が100%日本株でありながら毎月の分配を目指すという投信まで登場しました。
しかし、現在では、定期分配タイプは主流とは言えません。分配頻度に固執することなく、あくまで日本株という資産そのものに着目した投信の設定が目立っています。
また、投資対象として自動車などの大型株だけでなく、ジャスダックや東証マザーズなどの新興市場を含む中小型株が見直されている点も、足元の日本株型投信ブームを下支えしています。新興市場銘柄は、「大化け」すると投信全体の運用成績を一気に押し上げます。最近は、ネットゲーム開発のガンホー・オンライン・エンターテイメントやコロプラといった銘柄を組み入れた日本株型投信が急速に基準価格を上昇させ、注目されました。
ただし、新興市場銘柄は、東証1部上場銘柄などと比べて流動性が低いだけでなく、個人が取引参加者の中心となっているため株価が大きく上下に振れやすいというリスクを抱えています。新興市場銘柄を組み入れた投信でも、こうした点は注意が必要です。
日本株型投信は、市場低迷期に収益の積み増しを目指す仕組みや、投資対象市場などで数々の変化を遂げてきました。これまで毎月分配型の債券型投信にしか興味がなかった方も、日本株型投信を見直すと新しい発見があるかもしれません。(リッパー・篠田尚子)