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1回の投資で大きく儲けたい投資家は敗者【二】

2008年4月30日

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≪要約≫

株式投資を財産構築の手段とするために、ケンミレでは「売りは短期波動」「買いは中期波動」を基本に考えます。今回は、「売りは短期波動」についてレポートします。

≪本文≫

(3)「売り値」は短期の上昇波動
“大きく下がった銘柄だから、株価が下げ止まって反転したらきっと大きく上昇するはず”…と考えるのが多くの投資家の心情なのかもしれません。

しかし1回の投資で大きく儲けようと思って長期で持てば持つほど、将来のことは誰にも分かりませんので「その間に何が起こるか分からない」となります。もし「良いこと」が起こって株価が大きく上昇すればラッキーとなりますが、「悪いこと」が起こると最悪のケースでは塩漬け株となりますから、ただのアンラッキーだけでは済まされなくなってしまいます。


このチャートは東証一部に上場している「ニチアス」のものですが、同社は2007年10月に不祥事が発覚して株価が大幅下落しました。もし、この銘柄のチャートを見て「1回の投資で大きく儲けたい」と考えて長期保有していれば、今となっては売るに売れない塩漬けになっていたかもしれません。

しかしTOPIXでも日経平均でも個別銘柄でも、株価チャートを見ますと「過去に何%(または何日間)上昇すれば下落する」という短期波動の上昇率が分かります。この短期波動の上昇率(または上昇期間)が分かれば、それが“その銘柄が持っている実力”と見ることができますので、実力以上に「自分が売りたい株価」で売ろうと思っても「売れない」となってしまいます。

たとえば上記のニチアスのチャートの場合でも、過去の短期波動の小さな上昇と下落の上昇率をチェックしますと、極端に大きな46.5%や52.4%の上昇率を除けば「だいたい10%〜24%くらい上昇すると株価は下落」していることが分かります。

そうしますと、この銘柄で「1回の投資で大きく儲けたい」と思って40%や50%の大きな利益率で売ろうとしても「実力以上のことを要求している」ことになりますので、何か悪いことが起こると「売れずに大きく下がって大損」となってしまいます。

もちろん、将来は「悪いことばかりが起こる」とは限りませんが、分からない将来にイチかバチか賭けて投資するというのは博打と同じ発想です。株式投資には「リスク」と「リターン」がありますが、まずリスクを認識してリターンを求めるのか、それともリスクよりもリターンを重視して夢を追いかけるのか、この2つは似ているようでまったく異なる投資手法です。

『投資した銘柄すべての銘柄に勝ちたい投資家は敗者』でもレポートしましたが、どれだけ頑張っても株式投資で「全戦全勝」はありえません。そうしますと、まず考えるべきことは「いかにして失敗して損する確率を減らすか?」ということになりますし、仮に失敗しても「大きな損」にさえならなければ「敗者復活」ができるのが株式投資です。

したがって、ケンミレで売り値を決めるときは「1回の投資で大きく儲けたい」というのは自己中心的な発想で根拠がありませんので、必ずチャートの短期波動の上昇率を参考にして「売れる可能性が高い株価で売る」という基本ルールがあります。

つまり、株式投資を博打ではなく財産構築の手段とするならば、「確実に売る」そして「売って利益を積み上げる」ことを最優先に考えます。そのための武器が、短期波動の上昇率(および上昇期間)です。

(4)田中流「売った後に上がると悔しい」と思わない方法
チャートを見て、その銘柄の短期波動の上昇率を参考に売り値を決めるようにしますと、ほぼ100%「売った後に株価が上昇する」ことになります。言い換えますと、株式投資で「確実に売る」ということは、最高値を「当てようとしてはいけない」ということであり、「売った後に株価が上昇して当たり前」と思えるかどうかが重要なポイントとなります。

ところが多くの投資家は「確実に売る」よりも、欲がありますので「できるだけ大きく上昇したら売りたい」や「できるだけ最高値で売りたい」と考えます。

しかし「できるだけ最高値で売りたい」と思っても、その一番高い株価で「買っても良い」という投資家が現れないと売ることができませんし、さらに最高値は「一点」しかありませんから「当てよう」と思っても当てられるものではありません。

上記のチャートは偶然オンライオンセミナーを行っているときに見つけた銘柄で、最近売買した富士通ゼネラルという銘柄ですが、売った後から株価が急騰しました。そうしますと、「しまった!もっと持っていれば良かった」と思ったり「早く売り過ぎて損をした」と思う人がいるかもしれませんが、私は少し違います。

1つは、この銘柄は、売った後に偶然良い決算が発表されて株価が急騰しましたが、「売る前」に予想以上に良い決算が発表されるかどうかは分かりません。もし反対に業績の下方修正など「悪い決算」だったら、株価はまったく逆の動きになっていたかもしれません。

利益を取って売ったにもかかわらず、売った後に株価がさらに上昇すると「悔しい」という気分になるかもしれませんが、それでも「損をしている」わけではありません。しかし、欲を出して「もっと大きく上昇してから売ろう」と考えていたら株価が下がってしまい、結局売れずに損をする場合とどちらが本当に悔しいと思うかを考えますと、圧倒的に後者の「欲を出して売れなかったときの悔しさ」の方が大きくなります。

それともう1つ。これは『株式投資の心構え』になりますが、昔私がまだかけ出しの証券マンだった頃、お客さまに「利益が出ているので売りましょう」と電話で承諾を取っても、売った後に株価が上がると決まって「損をした」と叱られました。

利益を出して売っているにもかかわらず、「損をした」というのは日本語として間違っていると思ったものですが、要するにこのお客さまは「プロなんだから最高値近辺で売って欲しい」というのです。しかし、いくらで株価が最高値をつけるのかは「将来のこと」ですから事前には分かりませんし、そもそもまだ上がるのかそれとも下がるのかも正確には分かりません。

このとき、当時の支店長が私に次のように言いました。

“株価が上がって売れたということは、お前が売りたいと思う高い株価でわざわざ買ってくれる投資家がいたから売れたんだ。この高値で買ってくれた投資家も同じように儲かる分のノリシロを残しておかないと、お天道様の罰が当たるぞ。”

つまり「できるだけ高値で売りたい」と思うことは、自分が売った株価で買ってくれた投資家の儲け分を奪うことになるので良くないというのです。支店長からしてみれば、当時の証券界は「いかに回転売買して手数料を稼ぐか」が至上命題でしたので、長く持たせるよりは短期売買させたかっただけなのかもしれません。

しかしそれでも私はこのとき以来、売った後に株価が上昇しても「自分が売りたい株価で買ってくれた人も儲かったんだな」と思えるようになり、早く売り過ぎることはあっても株式投資で一番してはいけない塩漬け株を持ったことはありません。

◇まとめ

1回の投資で大きく儲けようとして結果的に「塩漬け」になってしまうリスクを考えますと、イソップ童話の「アリとキリギリス」ではありませんが株式市場はいつでもありますので、毎回毎回コツコツと利益を確実に取って積み上げて、一年を終えた時点で「儲かっていた」となることが、株式投資の勝者ということになります。

ただし、その銘柄が持っている「上昇する実力=上昇率」を参考にして売り値を決めるにしても、そもそも“高いときに買っている”となれば“上昇率が高い銘柄でも売りにくい”となり、本末転倒となってしまいます。

確実に売る、できるだけ損をしないで失敗する確率を減らすために、実は「売り値の決め方」以上に買いタイミングが重要になってきます。そのために、ケンミレでは「売り値は短期波動」を基本に考えますが、「買い値は中期波動」を基本に考えます。

次回は『1回の投資で大きく儲けたい投資家は敗者【三】』として、短期波動で確実に売るためには「売りやすい株価で買う」ことの重要性についてレポートします。

レポート担当 田中達也

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