≪要約≫
株式投資が『財産構築が目的』なのか、それとも『楽しむことが目的』なのか、もう一度よく考えた方が良い相場になっているようです。今回はいつものシリーズものに換えて、あらためて『財産構築が目的』の株式投資と『楽しむことが目的』の株式投資についてレポートします。
≪本文≫
TOPIXに代表される株式市場の動きを見ますと、3月17日に大底をつけてから「押し目待ちに押し目なし」で上昇基調が続いています。
これまで「調整で下がったら買おう」と思って押し目を待っていますが、目立った調整もなく、調整があってもTOPIXで2日〜3日ほど下がればすぐに反発してしまい、結局何も買えなかったということが何度もあります。
本来、株価はTOPIXであれ日経平均であれ、また個別銘柄であれ、「上がれば下がる」「下がれば上がる」を繰り返しています。したがって、通常の動きであれば大底からすでに24%も上昇した株価水準ですので「いつ下がってもおかしくない」という見方ができます。
ましてや今朝の「欧米金融機関のサブプライム関連の損失が今年1−3月で29兆円に急拡大」という記事を目の当たりにしたり、最近は他にも「原油価格の高騰でインフレ懸念」「米国景気に後退懸念」など弱いニュースが多いので、どうしても気持ちは慎重に構えるようになります。
しかし、それでも相場は堅調でなかなか下がらりませんが、いったい誰が買っているのでしょうか?個人マネーが中心の投資信託で、先月の4月は「解約額が購入額を上割る資金流出」になったそうです。そして株式市場では、先週の5月7日〜9日の個人投資家は▲1941億円の売り越しとなる一方で、外国人投資家は4008億円と大幅に日本株を買い越しました。
また昨日、ある大手外資系証券の著名ストラテジストの方のレポートを読んでいましたら面白い内容でしたので、以下にポイントをまとめます。
・米国の投資家を訪問したら、予想外に政治に関心が高く、今の「何も決まらない政情は最悪」との見方が多かった。
・しかし、日本経済は最悪期を脱しつつあり、「悪材料の多くは織り込み済み」と米国投資家にはうつっているようだ。
・しかしピーク圏の欧州経済に対して日本経済はボトム圏にあるため、日本株を見直そうという意見に賛同する声が多かった。
・ただし、ファンダメンタルズが構造的に改善したという見方は極めて少ない。
・それでも欧州株やアジア株に比べると、消去法的に日本株が見直されているようだった。
・回復基調の米国株や米ドルについては、「上昇基調が続く」と「一時的な回復」と見方に二分されていた。
・日米共に楽観的な見通しはかなり折り込んで上昇してきたので、米国投資家にはTOPIXの1400pでいったん利食いを推奨してきた。
・しかし下値には、外国人投資家の押し目買いが入りやすいと思われるので、大きな調整はないかもしれない。
それともう一つ面白い見方に、これも元外資系銀行のトップトレーダーだった人のコメントが昨日の日経夕刊にありました。
その人は、今の原油価格の急騰とNYダウの動きを比較したときに、「原油価格の急騰でインフレ懸念が出てきているので、上昇しているNY株は下がる」という見方と「原油価格が上昇しているは景気が良いことを先取りしているからであり、だからNY株も上昇している」という2つの見方があるというものです。ちなみにこの人は、自分では「後者の見方をする」といっていました。
外資系金融機関に関わる(または関わった)二人の見方は、今の環境で外国人投資家が日本株を買い越している理由を表わしているようにも思えます。もちろん一方で、国内景気の先行き不安や2009年の企業業績予想では減益見通しになりそうなことから、今回の上昇を「一時的なリバウンド」と見る専門家も多いことも事実です。
どちらが正しいか間違っているかは「将来に分かること」ですが、これから株式投資を行う上で肝に銘じておきたいことは、先のストラテジストも米国投資家に推奨したように「上がれば確実に売る」こと「下がった押し目を買う」ということです。
このとき、「大きな押し目がある」のか「小さな押し目しかない」のかの違いはあるかもしれません。しかし、本来、株式投資を『財産構築するためだけの手段』と考えるならば、株式投資は年間では100%勝たなければならないはずです。100%勝ちたいと思うならば、リスクを考えると投資タイミングを計るために使う市場は、採用銘柄数が一番多いTOPIXで見た方が安全度は高いということになります。
しかし、TOPIXで大きく調整で下がるタイミング=勝つ確率が高いタイミングは『年間で2回』くらいしかありません。
投資をする目的を『財産構築の手段』と『楽しむため』に大別した場合、あくまでも『財産構築の手段』であれば、今は下がるのを持った方が良いということになります。しかし、『楽しむ』ことが目的であるならば、『年間で2回の買い場』では少ないとなります。
したがって「小さな押し目で買う」ということは、楽しむための株式投資となりますが、投資リスクは非常に高くなります。そこでケンミレでは、株式市場を業種や事業品目、テーマで区分した約450の市場に細分化した『インデックス』を作りました。
そして昨年ですが、2005年と2006年の2年間を例にとって「割安なインデックスが年間でどれくらいあったか?」を検証してみましたら、12ヶ月のうち11ヶ月はいずれかのインデックスに中期下落波動が引かれて割安になっている月があることが分かりました。
つまり一年のうち、ほぼ毎月割安な状態になっているインデックスがあるということになりますので、『楽しむため』に株式投資を行う場合でも、上昇中を飛びついて買ったり、少ししか下がっていないところで買うのではなく、「割安になっている市場があったときに買う」ようにした方が良い、ということになります。
◇まとめ
株式投資の目的が『財産構築』であれば、やはりTOPIXなどの大きな市場が大きく下がったときだけ投資した方が良い、ということになります。
しかし投資レベルが上がったり、時間があったり、予想以上に儲かったときに、株式投資を『楽しむ』ために行うのであれば、業種別インデックスや事業品目でさらに細分化したケンミレインデックス、またはテーマ別インデックスで割安市場(インデックス)が見つかれば投資するという戦術が良いと思います。
このまま相場の上昇が続くかもしれませんが、それでもいずれ下がったときに“今よりも株価水準は高くなっている”としても、投資リスクという視点で見れば“大きく上昇した後の調整で割安になっているタイミング”といえます。
したがって、慌てて我慢できなくなって結果的に「高値買い」となることだけは、最悪でも避けるようにした方が良いと思います。
レポート担当 田中達也
【時事戦略レポート】話題のテーマで考える株式投資
決算発表シーズン後の“これだけは”
【チャートに強くなろう】
第19回チャートの使い方活用編(1)-ゴールデンクロス・デッドクロス−
【株式投資で知っておいたほうが良いこと】
第1回 負けなければ「勝ち」しか残らない