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統合効果、どこまで? 阪急阪神経営陣に課題

2006年06月06日

 村上ファンドを率いてきた村上世彰代表は5日の会見で、阪急ホールディングスが阪神電気鉄道の株式に実施中の公開買い付け(TOB)に応じる考えを示しつつ、両社が目指す経営統合について「効果がいまだにわからない」と訴えた。TOBと統合の成立は確実になったが、同様の指摘は関係者の間でもくすぶる。統合に承認を求める6月末の株主総会に向け、阪急・阪神の経営陣は効果を具体的に示すという課題を突きつけられている。

図表

阪急、阪神の部門別売上高

  ◇

 統合効果に関する疑問が最も強いのは、両社の本業である鉄道部門だ。

 阪急と阪神はともに、大阪・梅田と神戸・三宮間を主力路線とする。関西の他の私鉄大手には、大阪と奈良、京都、名古屋を結ぶ近畿日本鉄道や、大阪―京都間が主力の京阪電気鉄道もある。村上代表は会見で「(阪神の相手は)本当に阪急でいいのか」と繰り返しつつ、京阪や近鉄との提携を提案したことも明らかにした。「京阪と一緒になれば、(大阪と神戸、京都を結ぶ)阪急に匹敵する一大路線になったのに」(中堅証券のアナリスト)との声は根強い。

 阪急と阪神は統合方針を打ち出した4月末以降、効果を検証する作業を進めているが、車両・路線の保守点検システムの共通化によるコスト圧縮などをあげるにとどまっている。車両の共通発注も可能とされるが、ドア数や運転台などの仕様は各社ごとに違うため、「本当に可能か検討が必要」(鉄道関係者)という。

 流通部門は、関西の玄関口である梅田地区にある阪急百貨店と阪神百貨店がそれぞれ地域一、二番店で、「両店が手を結べば圧倒的な存在となり、仕入れ力がより強まる」(ライバル店)との声が上がる。

 ただ、こうした効果を早期にあげるには、百貨店の経営体制上の位置づけの問題が横たわる。阪急百貨店は阪急ホールディングスの傘下にはなく「兄弟会社」なのに対し、阪神百貨店は阪神電鉄の子会社で、阪神電鉄とともに10月1日発足予定の「阪急阪神ホールディングス」の傘下に入るという「ねじれ現象」が生じるからだ。

 至近距離にある両店は、「高級婦人服が売り物の阪急」と「食料品中心の阪神」とカラーは異なるものの激しい競争を繰り広げてきただけに、「一体化は簡単ではない」との声が強い。

 阪神の幹部は「両社の統一感を生んでいくには、(リストラなど後ろ向きの取り組みよりも)新しい事業を進めることが大切」と強調する。その期待を集めるのが不動産部門だ。

 阪急は、「大阪市内に残された最後の大規模一等地」とされる梅田北ヤードの中核施設の開発業者の一つに選ばれた。今後、新大阪と北ヤード、阪神の施設が集中する西梅田をつなぐ構想もある。阪神百貨店についても建て替える可能性があり、「高層化すれば不動産収入を増やせる」との声も出ている。

 阪急、阪神両社の最大の強みとされる宝塚歌劇団、プロ野球「阪神タイガース」についても、統合効果は印象論にとどまっている。東京株式市場での5日の終値は、阪神がTOB価格とほぼ同じ931円、統合への評価が反映する阪急は先週末より5円安の603円で、投資家はまだ様子見の姿勢だ。フィッチ・レーティングスの青山悟アナリストは「効果を数字で示さないのは債権者や投資家に不親切。大手私鉄の統合が戦後初なのは、あまりメリットがなかったからかもしれない」と厳しい。

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