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繊維各社もリサイクル事業本格化/環境PRで販路拡大狙い

2007年07月14日

 ナイロンやポリエステルといった化学繊維を販売する繊維各社が、リサイクル事業に力を入れている。これまでは使用後に処分されることが多かった衣料品を、繊維として再生したり、鉄鋼メーカー向けの原料にしたりしている。まだ商売にはならないが、環境対策のPRに役立つうえ、「環境つながり」で新たな取引先が増える利点があるという。

写真帝人ファイバー松山事業所のリサイクル工場。使用済み製品が次々と集まってくる=松山市で、帝人提供
図繊維リサイクルの流れ

 東レは6月から、同社の化学繊維「ナイロン6」を使った製品のリサイクルを始めた。主に企業の工場や官公庁で作業服や制服として着られている製品を、日本通運と連携し名古屋市にある事業場に集める。熱で溶かし、ナイロン原料に戻し、再び糸を作り製品に仕立てる。

 すでに一部の官公庁から回収が始まっている。「今後1年で約8000点、5トン分の回収を目指す。3年後には40トンに広げたい」(担当者)という。

 クラレの子会社「クラレトレーディング」は4月に、リサイクルしやすい特殊な合成繊維の衣類を売り始めた。来春にも回収事業を始める。東京の工場で細かく裁断して新日本製鉄に提供。新日鉄は鉄鉱石から鉄を取る際の還元剤となるコークスなどとして再利用する予定だ。

 旭化成の子会社「旭化成せんい」も、年内にも、繊維製品の回収に乗り出す。

 3社を後押ししたのは環境省が03年に敷いた「広域認定制度」。これまでは自治体をまたいで回収するには、各自治体の許可が必要で時間や手間がかかった。それを省いたのがこの制度で、効率回収が可能になった。

 以前から力を入れていたのが帝人の子会社「帝人ファイバー」だ。02年に衣料品メーカーと共同開発した製品をメーカー側が回収、工場で原料に戻すシステムを確立。スポーツ用品会社など76社と提携し、米社から海外で売った下着やフリースも回収する。今年6月には、フランドル(東京)と、リクルートスーツで提携した。

 他社からの問い合わせも多く、新分野の提携が増えそうだ。担当者は「これまで再生繊維製品は『質が落ちる』と抵抗があったが、提携先が増え、その先入観が変わってきた」と話す。

 ただ「環境」にはコスト増がつきまとう。

 中小企業基盤整備機構(東京)によると、企業や官庁が繊維製品を購入するのは年間42万トン(04年度)。しかし、リサイクルされるのはわずかに1000トン程度だ。個人が購入する製品でも2割程度にとどまっている。特殊な設備が必要なうえ、運営費がかさんで利益を出している企業はほとんどない。帝人や東レの担当者は「今後、取扱量を増やすことで設備の稼働率を上げて収益を確保していきたい」と話す。

 回収先の企業にも悩みは多い。クラレトレーディングは、処理工場に運ぶまでの輸送費を相手企業に負担してもらったり、リサイクル製品を売る際、1点につき通常料金に平均100円を上乗せしたりしている。「大企業はともかく、中小の多くはついて行けない」(関係者)という。

 クラレトレーディングと学校の体育着で提携したアシックスの担当者は「環境教育を重視する学校が増えてきており、PR効果は見込める。ただ輸送費などの負担増は、全体の利益で吸収するものの、いずれ製品への価格転嫁も考えなくてはならない」と打ち明ける。

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