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ブラジル好況、商社「収穫期」 移民100周年

2008年04月21日

 資源に恵まれたブラジル。日本からの移民が始まって今年で100周年となる南米の大国は、1次産品価格の上昇を追い風に経済が絶好調です。ブラジルと長くつきあってきた日本企業も、待ちに待った「収穫期」を迎えています。

グラフ

ブラジル国内市場の販売指数の推移

■地下鉄経営にも参画

 ブラジル第1の都市、サンパウロ。経済発展に沸く市街は朝夕に大規模な交通渋滞に見舞われ、地下鉄が市民の「足」となっている。09年度に開通する新路線の運営会社には日本の三井物産が1割を出資し、経営にも参画する。

 この地下鉄事業は32年間の長期契約。鉄道車両の納入などで実績のある三井物産も、地下鉄の運営にかかわるのは初めて。サンパウロで得た運営ノウハウを、世界で事業化したいねらいがある。

 三井物産のブラジルでの投融資額は、03年度の1565億円から06年度には2865億円に拡大した。新興国向けでは中国やロシアを抑え、最大の額だ。積極投資を担ったブラジル三井物産の大前孝雄・前社長は「移民の方々が築き上げた伝統によって、ブラジルには日本人がビジネスをする上での差別などがまったくない」と話す。

 三井物産がブラジルに進出してから半世紀以上が過ぎた。150万人の移民が暮らすブラジルは、全く新しい事業の成否を試す「実験場」となっている。

 例えば、商社が販売の窓口となる例が少なかった家電市場。三井物産の子会社「MPE」(本社・サンパウロ)は、シャープ製品の現地への売り込みが主要な事業だ。今年4月からはテレビの営業活動も始めた。

 ブラジルでは薄型テレビ市場が急成長。07年度に約80万台だった販売台数は、08年度には200万台に達する見込みだ。ただ、市場では、サムスン電子やLG電子といった韓国勢が先行する。

 日本市場でのシェアが首位のシャープ「アクオス」ブランドも、ブラジルでは知名度が低く、韓国勢を追う立場。MPEの三浦憲司社長は「ブラジルは複雑な税制や手続きの煩雑さなど、特有の『ブラジル・コスト』がある。そうした制度に通じた商社の力が生かせる」と、窓口役の意義を説明する。

■石油基地に巨額投資

 「気は確かか」。90年、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスの石油基地建設に、260億円もの融資を決めた旧日商岩井(現双日)の決断は、業界を驚かせた。

 当時のブラジルは年間のインフレ率が1千%を超え、対外債務も外貨準備の約20倍に膨れあがっていた。金融機関はどこもブラジルへの融資を拒んでいた。

 ところが状況は一変。原油価格の高騰と巨大油田の相次ぐ発見に沸くペトロブラスには、「融資したい」という金融機関が列をなす。同社に計約1600億円を融資した双日の寺岡一憲専務は「すべて回収できた上に、強固な関係も築くことができた」と胸を張る。積極的な投資が続くペトロブラスの製油所向けサービスなど、ブラジルでの事業拡大を期待している。

 90年代には進出に慎重だった日本メーカーも、相次いで巨額投資に乗り出した。新日本製鉄とJFEスチールは、ブラジル国内の高炉建設に数千億円を投じる計画を打ち出している。

 資源価格の上昇が本格化した04年以降、ブラジルの国内総生産(GDP)は3〜6%の成長が続く。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、ブラジルには日系企業約300社が進出。07年の調査では、71%が黒字を達成していた。ジェトロの二宮康史・中南米課長代理は「日本企業のブラジルを見る目が完全に変わった。1千億円単位の投資が決断できる状況になっている」と指摘する。(斎藤徳彦)

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〈視点〉移民が育てた「信頼」生かせ

 ブラジル出張で宿泊したホテルの朝食に、当然のように乳酸菌飲料「ヤクルト」が並んでいた。うまみ調味料「味の素」もごく普通に販売されている。いずれも、ブラジル市場への浸透が成果を結んでいる例として知られている。

 ただし、成長市場は競争も激しい。日本の「お家芸」の自動車や家電では、欧米や韓国勢の後塵(こうじん)を拝している。ブラジルの貿易額全体に占める日本のシェアも低下傾向だ。日系移民が育ててきた「信頼」という土壌を生かす事業展開が企業に求められる。

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