久光製薬「サロンパス」 張って治して75年2008年04月28日 久光製薬(本社・佐賀県鳥栖市)の張り薬「サロンパス」の誕生から75年目になります。ユニークなCMなどで家庭に浸透し、今もトップシェアを守っています。大衆薬市場は縮小していますが、サロンパスを土台に「張って治す」路線で成長を目指しています。
■新しい使い方を提案 女性のふくらはぎにヒラメ――。昨年末から放映されているサロンパスのCMは、ふくらはぎの筋肉(ヒラメ筋)に張る「ヒラメ貼(ば)り」を新しい使い方として提案する。 この新提案はマーケティング部の商品戦略1課を中心に06年末から東京本社で議論を重ねてきた。商品に同封したはがきへの返答などから、ふくらはぎの疲れに悩む女性が多いことが判明。効果があり、インパクトも強い張り方を半年がかりで試行錯誤して生まれたのがヒラメ貼りだ。同課の担当者は「まさに産みの苦しみ」と振り返る。 サロンパスは40代以上の中高年に支持されてきたが、00年ごろから成長率が鈍った。そこで同社が狙いをつけたのが、20〜30代の女性だ。ハイヒールでの営業や立ちっぱなしの接客などで足の疲れに悩む女性向けに、06年に「はさみ貼り」を提案。ヒラメ貼りもこの流れにある。 サロンパスは1934年発売。担当者は「一言でいうと古い商品。新陳代謝を続けて新しいお客さんを獲得し続ける必要があるんです」。 そのためにラジオやテレビを積極的に活用してきた。においを抑えて肌の色に近い改良を施すと「めだたない、におわない」の文句で外回りが多い会社員らに使い勝手のよさをPRした。スプレー式の「エアーサロンパス」のCMにはプロ野球、北海道日本ハムファイターズのダルビッシュ有選手やプロゴルファー宮里藍選手らを起用してスポーツ好きの市場を開拓した。 伝統的な手法も健在だ。約3万2千人が出場した今年2月の東京マラソン。ゴール地点で、同社の薬剤師のスタッフらが参加者にエアーサロンパスの試供品を手渡した。薬事法に基づく許可を得て臨時の薬店を設置、約3万個を配った。 ■原点は「置き薬」、医療用テープ首位 久光製薬は1847年、現在の佐賀県鳥栖市で創業。この地域は富山や近江と並び、各地を回る「置き薬」の拠点で、同社もその流れをくむ。実物を配って試してもらい、良さを売り込むのは同社の「おはこ」。戦前は営業担当者が福岡県大牟田市など九州の炭鉱にある銭湯で、サロンパスをお客さんの肩や背中に張って回った。効果を実感してもらってリピーターをつかみ、現在のトップシェアの基礎を築いた。 「増収増益は7期連続。いずれも過去最高です」。8日あった同社の08年2月期決算の発表で、高尾信一郎執行役員が強調した。連結売上高は1190億円で、6年で約2倍に増えている。 しかし、急成長を引っ張ったのはサロンパスではない。同社の売上高は医療用薬品が約7割を占め、サロンパスなど大衆薬は3割弱だ。 稼ぎ頭は医療用薬品「モーラステープ」だ。サロンパスで培った技術を活用、湿布剤をテープ状に改良した。高齢者向け需要が拡大して同種の薬品でトップシェアをもつ。同社は皮膚を通して体内に薬の有効成分を投与する張り薬に力を入れる。 サロンパスなど大衆薬の市場は05年で約6500億円。ピーク時の97年の9600億円を約3割下回っている。09年の改正薬事法では、さらに多くの大衆薬がスーパーやコンビニエンスストアで販売されるようになり、競争も激しくなる。同社幹部は「大衆薬は油断する暇がない市場。毎年がピンチだ」と話す。 同社が新しい収益の柱として期待するのが海外事業だ。08年2月期の海外の売上高の割合は約5%だが、今年2月にサロンパスの一種で強い効用が得られる新薬が米国で承認された。今年から来年にかけて現地の店頭にも並び、同社は、「海外事業の足がかりにしたい」と期待する。 それでも、社名をしのぐ知名度があるサロンパスの存在感は大きい。同社は「サロンパスが会社のイメージを想起させるので、ブランドを築くための投資は惜しまない」と、年約100億円の広告宣伝費のほとんどをサロンパスにつぎ込む。同社幹部も「サロンパスのブランド力が弱まってしまうことは怖い。とにかく、良い商品を出し続けたい」と話す。(澄川卓也) PR情報ビジネス
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