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海外滞留の企業利益 国内還流へ新税制案

2008年05月10日

 経済産業省は9日、日本企業が海外子会社で稼いだ利益を国内に送りやすくするため、新しい税制措置を検討すると発表した。企業が海外にため込んだ利益は約12兆円あるとして、国内での研究開発や設備投資、賃上げの原資に回したい考えだ。09年度税制改正での実現を目指す。

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 甘利経産相が9日の会見で「海外子会社の利益を必要な時期に必要なだけ国内の本社に戻すことができるよう、国外所得免除制度への税制改革を検討する」と明らかにした。

 いまの「外国税額控除制度」では、国内の親会社の所得と、海外子会社から受け取った配当所得の両方に課税される。海外子会社が現地で納めた税金分は控除されるが、日本のほうが税率が高い場合は、差額分を納税しなければならない。

 今回検討する「国外所得免除制度」では、海外子会社からの配当への課税はやめる。5月中に検討組織を立ち上げ、8月までに税制改正要望をまとめる方針だ。

 制度変更の背景には、企業が子会社の利益を内部留保として海外にとどめている実態がある。国内製造業の海外生産比率は3割超まで高まり、海外で稼ぐ利益も増えているが、海外子会社から親会社への配当の伸びは低い。逆に海外子会社の内部留保は、毎年2兆円強積み上がり、05年度末で約12兆円に達した。財界関係者は「国内の親会社が赤字で配当が難しいときくらいしか、海外子会社の利益を移さない」と話す。

 世界では企業誘致のために法人税率の引き下げ競争が起き、日本の法人実効税率40%は相対的に高い水準とみられている。このため、企業は法人税の安い海外に利益をとどめ置こうとする傾向が強い。経産省幹部は「過度に海外に利益が留保されると、日本の強みである研究開発投資が国外へ出ていく」と懸念する。

 新制度では、国の法人税収入が減りかねない。この心配に対し、日本経団連の幹部は「還流した資金が設備投資や賃金に回れば、そこで課税が発生する。税収減にはならない」と説明する。

 経産省によると、日本の現行制度と同様の仕組みを採る国は、経済協力開発機構(OECD)加盟国では米英など7カ国。独仏など18カ国は国外所得免除制度で、米英も移行を検討中という。

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