記者の質問にこたえる甘利経産相=13日、東京・霞が関、竹花徹朗撮影
政府は13日、英投資ファンドによる電力卸大手Jパワー(電源開発)の株式買い増し申請に対し外国為替及び外国貿易法(外為法)による初の中止命令を出した。今後の焦点はJパワーとファンドによる株主支持の「争奪戦」に移る。一方、命令は特殊法人の民営化に影を落としそうだ。
中止命令を受けたのは、「ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスターファンド」(TCI)。財務、経済産業両省は4月、「公の秩序の維持を妨げるおそれがある」として買い増し中止を勧告。TCIは拒否し、両省に「事実誤認や法令解釈の誤りがある」とする弁明書を提出したが、認められなかった。
両省は13日、「今回の判断は、電気の安定供給や原子力政策・核燃料サイクル政策の中核となる原子力発電所の建設計画などへの悪影響を回避するためで、政府の対日直接投資促進の姿勢は今後も不変」と強調した。
一方、TCIアジア代表のジョン・ホー氏は同日、「この決定は健全な株主民主主義に反するものだ」とのコメントを発表した。TCIは7月14日までに両省に行政不服審査を申し立てることができ、審査結果に不満な場合は、さらに行政訴訟を提起できる。
JパワーとTCIの争いの焦点は今後、6月26日の株主総会に移る。争点は株式配当案と取締役人事案だ。
発行済み株式の9.9%を保有するTCIは過去、10%以下の株保有でドイツ取引所の社長を辞任に追い込み、オランダの老舗(しにせ)銀行を分割・売却に持ち込んだ。今回もJパワーの配当率が業界他社に比べていかに少ないかを示した図表をホームページに載せるなど、既に他の株主の支持集めに動き出している。
Jパワーの外資比率は08年3月末で約37%。1年前よりも約4ポイント減った。だが、昨年のTCIの増配提案は、大々的な呼びかけがなくても三十数パーセントの賛成を集めており、経営陣にとって予断を許さない状況に変わりない。