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欧州、日米より視界不良 ユーロ圏成長下落 1〜3月期

2009年5月16日0時50分

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 【ロンドン=有田哲文】欧州連合(EU)統計局が15日発表した09年1〜3月期の域内総生産(GDP)速報で、ユーロ圏16カ国の実質成長率が前期比2.5%マイナスになった。今月初めに発表した09年の見通しも暗い。底打ち期待が出つつある日米中に比べ、欧州の景気回復は出遅れるとの見方が強まっている。

■悪化目立つ主要国

 スペイン・サパテロ首相は13日、一風変わった景気刺激策を発表した。ロイター通信によると2億4千万ユーロ(約310億円)を投じ、スペインへの乗客を前年以上とした航空会社には空港使用料をタダにする。航空会社の鼻先にニンジンをぶら下げる。

 「あまり例がない」(航空関係者)とされる奇手が必要なほど現状は深刻だ。4月の消費者物価指数はマイナス0.2%。欧州で唯一、デフレに突入した。3月の失業率は17.4%にのぼり、今後は20%を上回るとの見方もある。

 マイナス2.5%となったユーロ圏の域内総生産は、99年のユーロ導入以来の最低記録をまた更新した。イタリアのマイナス2.4%、オランダのマイナス2.8%などと主要国に悪化が目立った。

 とくに日本と同じく輸出に頼るドイツは、マイナス3.8%と際立った。欧州委員会が今月初めに発表した予測では悪化はさらに続く。輸出が16%下落し、設備投資は20%減。10年に悪化ぶりは和らぐものの、賃金は09、10年とも1%しか上がらない――。民間エコノミストらは「今年夏のデフレ突入」を予想する。

 国際通貨基金(IMF)の09年の成長率見通しでは、金融危機の震源地、米国がマイナス2.8%にとどまるのに対し、ユーロ圏はマイナス4.2%。景気回復は欧州が出遅れるとの指摘が目立つ。

■足引っ張る中・東欧

 理由の一つは、米国などに比べ思い切った景気刺激策が取られていないことだ。通貨ユーロの価値を守るため、財政規律をないがしろにはできない。また銀行の不良債権処理が遅いとの見方もある。

 「金融システムへの信頼は回復されていない」。IMFのベルカ欧州局長は12日、欧州の銀行に「ストレステスト」と呼ばれる特別検査をすべきだとの考えを表明した。

 景気悪化のシナリオを描いて銀行の資本が持ちこたえられるかどうかを調べる。米国が実施して市場に一定の安心感をもたらした。だが、ロイター通信によると、シュタインブリュック独財務相は「かえって悪い影響がある」と消極的だ。マイナス情報が相次げば、銀行が市場で追い込まれかねないと見るからだ。

 中・東欧諸国の悪化も不安材料だ。オーストリアやスウェーデンなどの銀行が貸し込んでおり、今後影響がじわじわ出てくるおそれがある。

 それでも、ほのかな明るさはある。フランスのように、国内消費の強さを反映して落ち込みが小さめの国もある。

 各国の株価は3月以降持ち直した。ただ、ロンドンの証券関係者は「安全な国債ばかり買っていた投資家が、ようやく少しリスクのある社債に向かってきたところだ」。株式投資が本格化しているとはいえない。投資家がいつ景気の見通しに確信を持つのかは、まだ不透明だ。

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