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再建はスティール主導 アデランス株主総会、会社案否定

2009年5月29日1時51分

図:  拡大  

 かつら最大手のアデランスホールディングスの株主総会が28日、東京都内で開かれ、筆頭株主(持ち株比率26.7%)の米系投資ファンド、スティール・パートナーズが提案した取締役選任案が可決された。経営陣が支援を求めた国内ファンド、ユニゾン・キャピタルによる再建計画を事実上否定するもので、総会後の取締役会では早川清社長が辞任する異常事態となった。

 株主総会で投資ファンドが提案した取締役選任案が可決されるのは、極めて異例だ。新社長には、スティールが同日の総会で取締役候補にあげていた渡部信男・元アデランス副社長が就任。スティールはサッポロホールディングスやブラザー工業などにも出資しているが、意中の社長を据えて経営を主導するのはアデランスが初めてとなる。

 スティールは04年にアデランスに出資。株式の買い増しで持ち株比率を高め、昨年の総会では経営陣の総退陣を求めて当時の岡本孝善社長らの再任が否決された。今年3月には今回の総会で可決された取締役選任案を突きつけた。

 こうした動きに対抗してアデランスは4月、ユニゾンと提携。ユニゾン関係者を取締役にあてる選任案を総会で可決したうえで、ユニゾンがアデランス株を35%以上取得する株式公開買い付け(TOB)により、スティールの影響力をそぐ青写真を描いた。

 会社側とスティール側はそれぞれ掲げた取締役選任案の可決をめざして議決権の委任状争奪戦を展開したが、外資系の議決権行使助言会社は会社案に反対するよう提言。ユニゾンは総会直前の25日、TOB価格を引き上げる事態に追い込まれていた。

 総会の所要時間は3時間29分。出席した株主によると、採決結果を渡された早川氏が一瞬、渋い表情をしたように見えたという。スティールが提案した取締役8人が全員承認され、会社案のうちユニゾン関係者の3人が否決された瞬間だった。スティール案は外国人株主を中心に過半数の賛同を得たのだ。

 スティールは総会終了後、アデランスの海外子会社統合や、コスト削減の徹底などで経営再建を進めると発表。ウォレン・リヒテンシュタイン代表は「私どもの取締役は業績向上と株主価値の増大を軌道に乗せるために努力する」とコメントした。

■ユニゾンはTOB断念

 「不採算店は統廃合され、人減らしや資産売却があるかもしれない」「景気が悪いのに経営を立て直せるか」。総会の結果に、アデランスグループの社員からはこんな声があがった。新経営陣に期待する一方で、不安も根強くあるようだ。スティール主導の取締役会が一枚岩になって、社員の共感を得られるかが経営再建のカギを握る。

 だが、双方の選任案から選ばれた取締役計11人のうちアデランスとスティールの双方が推したのは早川氏だけ。早川氏は社長辞任後も取締役に残るが、そのほかの10人はアデランス側3人とスティール側7人に分かれる。

 アデランスは昨年8月の臨時株主総会でスティール側の取締役を受け入れたが、関係者によると「取締役会の議論はかみ合わず、機能していなかった」という。

 新社長に就いた渡部氏は3年前に副社長を退いた後、自ら発毛サロンを展開し、アデランス側との対立があったとされる。昨年に続いて社長が交代する異常事態となり、社内の混乱が当面は避けられないとの見方が強い。

 ユニゾンは関係者を取締役会に送り込めず、6月1日から予定していた友好的なTOBを取りやめる。アデランスとの提携関係も同月5日までに継続するかどうか決める方針で、アデランスの再建は仕切り直しとなる。

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