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ワクチン、自然エネルギー…社会貢献ファンドに人気

2009年7月4日1時42分

写真:1号店の常連客らの出資で出店に結びついた雑穀おにぎり専門店の2号店=東京都千代田区1号店の常連客らの出資で出店に結びついた雑穀おにぎり専門店の2号店=東京都千代田区

 損得勘定だけではなく、特定の事業や取り組みに共感を覚える人が、事業主にお金を出す新しいファンドが育ち始めている。投資対象は、おにぎり店や純米酒造り、途上国向けワクチンの購入とさまざまだ。元本割れリスクはあっても、納得して出資する「応援型ファンド」が、新しいお金の使い方としてじわりと浸透している。

 6月上旬、東京・有楽町の商業ビルに20平方メートル弱の「雑穀おにぎり専門店 maimai」2号店がオープンした。国産、無農薬などこだわりの雑穀米選びが評判で1号店に続いて出店が決まった。

 経営者はネット経由で3月下旬から出資を募った。一口3万円で上限は20口。1号店の近くで勤める常連客ら58人が出資し、その3分の2は20〜30代だった。ある男性は「使い道を銀行に託す預金と違い、自分のお金がお気に入りの店という形になって素直にうれしい」。

 配当は店の売上高に応じて決まる。月平均130万円で配当が出始め、目標の300万円に達すれば年5%の配当が得られる。出資金は3年間で返還されるが、売り上げ状況によっては減る恐れもある。それでも、出資者らは経営者に「素材の質を落としてまで営利に走らないで」と求める。事業内容に共感するからこそ出資した人がほとんどだからだ。2号店の開店パーティーでは、お金を出す側と活用する側が交流した。

 ファンドを企画したのは、東京のベンチャー企業、ミュージックセキュリティーズ。ほかにも、純米酒造りや天然あい染めジーンズ生産、林業の活性化に共感する出資者を募集するなどユニークなファンドを数多く手がける。猪尾愛隆取締役は「自分が大事だと思う事業などを守るため、投資したいと考える人たちが増えている」と話す。ファンドの種類は、今年度内に20程度に増やすという。

 大和証券は、途上国の子どもたちを感染症から守る予防接種を購入するための債券「ワクチン債」を個人投資家に販売。接種の普及を目指す国際機関が発行する外債で、返済原資は各国からの寄付金だ。2月に400億円を募ったところ1週間で埋まった。担当者は「金融危機で個人客にリスク商品を売りにくい時期だったが、どんどん売れた」という。株や投信などリスク商品に縁がなかった女性顧客の関心が高く、「資産を運用しながら、社会貢献もできるのが魅力のようだ」。

 03年に発足した「自然エネルギー市民ファンド」(東京)は、発電用の大型風車を建て、その電力を売った収益を配当で還元する。建てた風車はすでに11基で、配当の実績は年2.5%程度。鈴木亨社長は「自分が出資したお金の使い道が目に見える。そこが共感を呼ぶのではないか」と話している。(畑中徹)

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