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自動車保険値上げ 割引競争が体力削る 不払い問題影響

2009年7月8日1時1分

 自動車保険の保険料が一斉に引き上げられる見通しになった。競争激化で損保各社の収支が悪化しているうえ、少子高齢化に伴い自動車市場の縮小が進んだことが響いた。損保各社は保険料値上げで収支の改善を見込むが、さらなる自動車市場の縮小を招く「悪循環」に陥りかねない。

 自動車保険料引き上げの背景には、損保各社の収支が悪化していることがある。

 98年の保険料自由化にともない、一律だった保険料を、各社が参考純率を目安に独自に設定できるようになった。自動車保険の無事故割引などを相次いで投入するなど、保険料の割引競争が激化。損保各社が「保険本業でもうけられない体質」も招いた。

 少子高齢化で国内の自動車販売の伸びは期待しにくく、保険引き受け損益の慢性的な赤字体質が続いていた。そこに金融危機による極度の販売不振が追い打ちをかけた。自動車保険の保険料収入は01年度のピークには3兆6700億円だったが、08年度には3兆4500億円に減った。

 保険金不払い問題で各社は再発防止策に経営資源の投入を迫られ、システム投資などのコストがかさんだ。再発防止策を迫られたことが保険金支払いの増加につながり、さらなる収支悪化を招いた。

 こうした状況のなか損保各社は今回の参考純率アップの前に保険料の引き上げに着手。昨春以降、大手各社は1〜3%程度の値上げをした。

 今回、初めて年齢別の引き上げ幅を公表したのも、世代別の事故率の違いを保険料に反映させる狙いがある。その結果、事故率の高い高齢者の引き上げ幅が上がった。

 これまで多くの損保会社は保険料を引き上げる際、契約者の年齢による差はつけず、一律でおこなっていた。今回、初めて契約者の世代に応じて異なる引き上げ幅の基準が示されたことで、方針を変える社も出てきそうだ。

 損保業界は、保険料の引き上げで当面の収支改善を見込むが、自動車市場の縮小を加速させかねない懸念もある。

 国内新車販売台数は90年の777万台をピークに低落傾向が続いており、08年は508万台と3割以上も減った。保有台数は今年3月末現在で7529万台で、2年連続で減少した。政府は低燃費車などを対象にした「エコカー減税」で販売のテコ入れをはかるが、保険料引き上げが冷や水を浴びせる恐れがある。

 メーカー側からは「保険料引き上げは、事故との関係でやむを得ない措置なのだろうが、販売面では迷惑な話だ。新車の購入意欲をそがなければいいのだが」(幹部)と心配する声もあがっている。

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