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米金融大手6社とも黒字、4〜6月期 先行きは不安

2009年7月22日23時6分

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 【ニューヨーク=丸石伸一】米金融大手6社の09年4〜6月期決算が22日、出そろった。純損益は全社が黒字で、1〜3月期に続いて堅調な結果になった。ただ、7〜9月期以降は再び業績が悪化するという見方もあり、先行き不安はくすぶっている。

 22日に発表した2社では、ウェルズ・ファーゴの純利益が前年同期比81%増の31億7200万ドル(約3千億円)と大幅に増えた。モルガン・スタンレーは同87%減の1億4900万ドル(約140億円)と小幅ながらも3四半期ぶりに黒字を確保。ただし、公的資金注入の見返りに発行した優先株などへの配当分だけで純利益を12億5600万ドル(約1200億円)上回っており、普通株への配当に回せる利益はマイナスだった。

 1〜3月期は、モルガン・スタンレーを除く5社が黒字。金融危機が深刻化した08年10〜12月期は6社中5社が赤字だったが、これで2四半期復調が続く。純損益の数字をみれば、最悪期を脱して安定に向かっているとも映る。

 ただ、決算内容は、明るさだけではない。代表例がモルガン・スタンレーやシティグループ、バンク・オブ・アメリカだ。黒字といっても、内実は資産売却の利益によるかさ上げが大きい。

 モルガン・スタンレーは傘下の投資分析会社などの売却など一時的な利益を除くと、純損益は1億5900万ドル(約150億円)の赤字。不動産投資で7億ドル(約660億円)の損失を出しており、本業の回復に不安が残る。

 シティも、傘下の個人向け証券会社「スミス・バーニー」の保有株をモルガン・スタンレーとの合弁会社に売却した利益がなければ、「24億ドルの赤字だっただろう」(ジョン・ガースバック最高財務責任者)という。

 各社の重荷になっているのは、不良債権処理費の急増だ。大手の中で唯一、昨秋も黒字を続け、公的資金も完済したJPモルガン・チェースでさえ、融資の焦げ付き増に備えた貸し倒れ引当金が前年同期から倍に増えた。米国では、住宅の差し押さえ件数は過去最高を更新し、ローンの焦げ付きは今後も続く見込み。失業率も上昇し、クレジットカードのローン返済も貸し倒れが増えている。

 さらに、モルガン・スタンレーが損失を出した不動産関連の事業は、「今後の最も大きな懸念材料」(米金融当局の幹部)とされ、とくにオフィスビルやショッピングセンターなどの商業用不動産の価格動向が焦点だ。業界関係者によると、高値が保たれてきたニューヨークでも最近、一部で大幅な値崩れが起きているという。価格下落が本格化すれば、大手金融の損失は一気に拡大しかねない。

 バンク・オブ・アメリカのケネス・ルイス最高経営責任者(CEO)は17日、今年下半期について「上半期に比べて利益を出すのは非常に困難になる」と述べた。アナリストの間では、シティなどは7〜9月期に再び赤字に転落し、数四半期にわたり苦戦が続くという見方も出ている。

 米銀だけでなく、損失計上が遅れている欧州勢の経営が今後さらに悪化する可能性も懸念されている。信用不安が再燃すれば、市場が動揺し、収益環境が悪化しかねない。今後の業績は「まだ楽観できる状況にはほど遠い」(大手金融の幹部)との見方もある。

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