現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. ビジネス・経済
  4. コラム
  5. 経済を読む
  6. 記事

パケット定額値下げ激化、利用者は「?」 上限据え置き

2009年7月31日1時29分

図:  拡大  

 携帯電話のパケット定額サービスの「値下げ合戦」が激しい。携帯大手3社が今年に入って相次いで「下限額」の最低月額料金を引き下げた結果、来月から390円で横並びになる。ただ肝心の「上限額」は据え置きで、各社がアピールするほどには、値下げの利点を実感できる人は多くない。

 「お客様に入っていただきやすくするためだ」

 NTTドコモの山田隆持社長は30日の会見で、490円に引き下げたばかりの下限額をわずか3カ月で再値下げする理由をこう説明した。

 5月の値下げにあわせて始めた、ドラマやアニメ、音楽番組などの動画サービス「Bee TV」が呼び水となり、パケット定額サービスへの新規加入者は月10万〜20万程度増えているという。

 ライバルのソフトバンク(SB)とKDDI(au)は先行して390円までの下限額の引き下げを発表。100円とはいえ、ドコモが業界最安値にこだわるのは「動画のドコモ」を目指す山田社長の決意のあらわれといえる。

 各社の値下げ競争が過熱するのは、携帯電話の使い方が従来の音声通話からメール送信やネット閲覧などパケット通信に移っているからだ。

 利用者1人あたりの通信料収入を増やすためには、パケット通信をどれだけ伸ばせるかがカギになる。そのためにはこれまで動画や音楽に興味のなかった層に定額サービスに加入してもらい、パケット通信をより多く使ってもらうしかない、というわけだ。

 ただ、利用者にとってバラ色なわけでもない。パケット定額サービスは、一定の通信量を超えると下限額に加えてパケット量に応じた料金がかかり、上限額で止まるというしくみだ。

 SBの孫正義社長は30日の会見で、下限額の値下げと同時に「1パケットあたりの単価は今までより値上げになっている」と口を滑らせた。SBは下限額を下げる代わりに1パケットあたりの通信料を0.084円から0.105円に値上げ。KDDIも同様に値上げするため、2社の利用者はこれまでより少ないパケット量で上限額に近づくことになる。ドコモはパケット通信料の単価を据え置く。

 そもそも若者を中心にパケット定額サービスの利用者の多くは「上限額」を支払っており、「下限額」の値下げの恩恵は受けられない。野村総合研究所の北俊一・上席コンサルタントは「他社と比較されやすい携帯電話のサービス価格の値下げ合戦は、あくまで営業戦略の意味合いが強い」と冷ややかだ。(岡林佐和)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内