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日航、路線整理に不安 地元反発必至、年金カットも難航

2009年8月8日1時17分

写真:日航機が滑走する関西空港。さらなる廃止・減便の可能性も=大阪府日航機が滑走する関西空港。さらなる廃止・減便の可能性も=大阪府

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 経営再建を目指す日本航空の行く手に、暗雲がたれ込めている。7日に発表した09年4〜6月期の連結営業損益は過去最悪の861億円の赤字。不況に新型インフルエンザの影響も加わり、需要が低迷している。着手した路線整理も難航が予想され、赤字を補うはずの企業年金カットもOBらの反対運動が広がりをみせている。

 「すべての路線を、聖域なく見直していく」。日航の金山佳正取締役は7日の記者会見で、そう話した。

 廃止・減便の対象は、採算割れが続いている国際線、国内線の計16路線。中部―パリ、中部―ソウル仁川は10月下旬から廃止する。一方、当初廃止の予定だった関西―大連、関西―杭州は、決定を先送りした。来春までに見直す方針は変わらないと見られるが、金山氏は「まだ調整中」と地元の反発が強いことを示唆した。

 16路線の整理による収益改善効果は40億〜50億円にとどまり、さらなる廃止、減便は避けられない。日航は、国内外の一部就航先からの完全撤退も進める方針。支店や空港カウンターの費用を抜本的に削減できる経営上の利点はあるが、地元の反発はより強くなりそうだ。

 決算には、新型インフルエンザが大きな影を落とした。春先に一度持ち直した日航の利用客は、インフルの流行に伴って5、6月に前年同月比で再び下落。4〜6月の売り上げを約200億円押し下げたとはじく。日航は「インフルの影響はほぼなくなった。大型連休のある9月の予約は好調」(金山氏)と復調の兆しを強調するが、もしインフルが再流行すれば、その影響は甚大だ。

 日航は6月末、日本政策投資銀行などから、一部に政府保証もついた約1千億円の協調融資を受ける契約にこぎつけた。不採算路線の整理などを柱に今夏中にまとめる経営改善計画が効果的と認められれば、日航が今期中に必要とする2千億円のうち、残りの融資も受けられる手はずだ。

 だが、2千億円という数字をはじいたのは、インフル流行以前の今年1、2月ごろ。7日の会見で、日航は今後必要になる資金額についての質問に回答を避けたが、ある幹部は「2千億円では足りないかもしれない」と明かす。

 経営改善計画のもう一つの柱である企業年金カットも、先行きは不透明だ。減額反対の退職者有志でつくる「JAL企業年金の改定について考える会」は7日までに、3240人の反対署名を集めた。9千人弱とされる退職者の減額には、うち3分の2以上の賛成が必要。今後の正式な手続きで署名者全員が反対すれば、実現しない。

 同会の世話人の一人、福島隆宏さんは(67)は7日の朝日新聞の取材に「日航の置かれている状況が厳しいのは事実。われわれはただ、生活に不可欠な受給権を確保したいだけだ」と話した。

 6月末の融資契約に先だって、日航の再建を指導・監督すると宣言した金子国交相は「年金減額と追加融資はセット」と発言したこともある。減額が実現せず、追加融資も受けられなくなれば、資金繰りが一層困難になる事態も予想される。(山本精作)

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