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空の覇権争い激化 米コンチネンタルの航空連合移籍

2009年10月29日1時45分

写真:スターアライアンスの文字を記した旅客機を前に、同アライアンス運営会社のヤーン・アルブレヒトCEO(中央右)と握手するコンチネンタル航空のラリー・ケルナー会長兼CEO(中央左)=27日、米ニュージャージー州、丸石写すスターアライアンスの文字を記した旅客機を前に、同アライアンス運営会社のヤーン・アルブレヒトCEO(中央右)と握手するコンチネンタル航空のラリー・ケルナー会長兼CEO(中央左)=27日、米ニュージャージー州、丸石写す

図:  拡大  

 【ニューヨーク=丸石伸一】米コンチネンタル航空は27日、国際航空連合「スカイチーム」から同「スターアライアンス」に移籍した。世界の大手では初のくら替えで、航空連合間の競争は激化する見通しだ。苦境の業界の生き残り策として、航空連合の重要性が増していることが浮き彫りになった。

■規模誇示するスター陣営

 「苦闘する日本航空をめぐる(国際的な提携に関する)議論を見ていると、提携の重要性について改めて気づかされる。提携は顧客や投資家、従業員に対する価値を創造する。コンチネンタルの加盟でスターアライアンスの価値はさらに高まった」

 コンチネンタルの移籍を発表した27日の記者会見で、あいさつに立ったスター陣営のユナイテッド航空のグレン・ティルトン会長兼最高経営責任者(CEO)は、日航の名を挙げ、航空連合の意義と自陣営の優位性を強調した。

 やや唐突な発言だったが、米航空会社の中では、ノースウエストを統合したデルタ航空に次いで日本関連の路線を多く持つだけに、日航をめぐる米競合他社の綱引きに、大きな関心を持っているようだ。スカイチームのデルタとワンワールドのアメリカン航空が出資を申し出た「日航争奪戦」は、コンチネンタルの移籍で航空連合の力関係が変わったことも一因だ。

 1日約2500便を運航するコンチネンタルの加盟で、スターアライアンスは三つの航空連合の中で群を抜く規模になり、逆に、コンチネンタルが抜けたスカイチームは大きな差をつけられた。スカイチームがワンワールド加盟の日航に秋波を送るのは当然ともいえ、それを阻止しようとワンワールドも必死だ。

 各連合の対抗意識を裏付けるかのように、27日の記者会見は、スター陣営の規模を誇示する場になった。

 会見場は、コンチネンタルが拠点空港とするニューヨーク市郊外のニューアーク国際空港(ニュージャージー州)の格納庫。世界の加盟社など25社超の幹部が一人一人呼ばれて登壇し、横一列に並んだ様子は壮観だった。需要が大きいニューヨークと中南米に強いコンチネンタルの加盟で、スター陣営が手薄だった地域はほぼ網羅される。

 だが、会場に並んだ各社の多くは厳しい経営環境にある。米大手5社のうち3社が加盟するスター陣営も、直近の09年7〜9月期は全社が最終赤字。「最悪期は脱した」とは言うものの、世界不況と原油高の二重苦はなお続く可能性があり、「米大手は来年まで黒字転換できない」(米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズのフィル・バグレー氏)との見方も多い。

 だからこそ、他社の力を借りて路線網を広げる航空連合の重要性が高まっているともいえる。合併よりも提携強化を選んだコンチネンタルの戦略がその証しだ。

 航空連合の加盟社は、空港施設の利用や燃料の購入を共同で行ってコストを削減できるほか、共同運航による路線網の拡大で顧客増が期待できる。コンチネンタルの移籍で提携が実現した全日本空輸の顧客にとっては、新たにコンチネンタルの中南米などへの運航便への乗り継ぎが便利になり、ためていたマイレージポイントを両社で使うこともできるようになる。

 コンチネンタルは全日空との関係強化を「日本やアジアでの提携効果を拡大する大きなチャンス」としており、日本の航空自由化を視野に入れた航空大手の動きも活発化している。

■日航再建の道筋を左右

 経営再建を目指す日本航空にとっては、どの国際航空連合に所属するかで再建の道筋が変わる。

 デルタ航空は日航に最大5億ドル(約455億円)程度の出資を申し出て、システム変更などスカイチームへの移籍に必要なコストをすべて提供するとしている。一方、ワンワールドのアメリカン航空も、デルタと同規模の資金支援を申し出ている。

 スカイチームには太平洋路線に強いノースウエスト航空があり、日航が同陣営に移籍すれば、共同運航などによるコスト削減が可能になる。一方、ワンワールドに残れば、太平洋路線の中核を担い続けるため、将来の成長の余地が大きいとの見方もある。

 前原誠司国土交通相が9月に日航の再建計画の練り直しを命じて以降、米航空2社との交渉はほぼ止まっている。ただ、前原氏が選任した専門家チーム「JAL再生タスクフォース」も外資との提携は排除していない。日航は来春までに3千億円の資本増強が必要とされ、アメリカンかデルタから資本を受け入れる可能性がある。(山川一基)

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