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インドのドコモ躍進 出資会社、割安が好評で4カ月首位

2009年12月27日3時19分

写真:インド東部のコルカタ空港に現れたタタ・ドコモの宣伝。通信ネットワークは、デリー州など一部を除き、ほぼインド全国を網羅した=高野写すインド東部のコルカタ空港に現れたタタ・ドコモの宣伝。通信ネットワークは、デリー州など一部を除き、ほぼインド全国を網羅した=高野写す

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写真:タタ・テレサービシズのアニル・サルダナ社長タタ・テレサービシズのアニル・サルダナ社長

 NTTドコモが出資するインドの携帯電話会社「タタ・テレサービシズ」(TTSL)が好調だ。インド国内の新規加入件数で4カ月連続のトップシェアを獲得。ドコモが圧倒的な強みを持つ第3世代(3G)サービスにも参入する方針で、加入件数と収益の拡大を狙う。

 最近インドでは、大都市の空港周辺や幹線道路で「タタ・ドコモ」の広告が目につくようになってきた。たとえば東部の地方空港、コルカタ空港。荷物の受取場所の近くなどに、黄色やオレンジで彩られた広告がある。

 「今は別の携帯を使っているけど、電話番号を変えずに移れる制度が導入されたら、すぐにでもドコモに乗り換えたいね。料金は安いし、ファッショナブルだから」。広告を見ていた旅行会社の男性社員、ディーパックさん(26)がそう話した。

 「タタ・ドコモ」はブランド名。NTTドコモから26%(約2500億円)の出資を受けて、TTSLが今年6月に始めたGSM方式(第2世代)の携帯電話サービスだ。直後の8月からTTSLは4カ月連続で新規加入件数の国内トップに。11月は1764万件のうち、約19%(約332万件)を占めた。

 新たに導入した料金体系が人気を得た。それまでは1分単位での課金が主流だったが、秒単位での課金(1秒=約0.02円)に。1分10秒の通話でも2分ぶんが課金される従来に比べ「ドコモは得」との評判が広がった。

 インドではTTSLを含め10社超の携帯事業者がしのぎを削っている。TTSLは、ニュースなどをテロップで知らせる「iチャネル」や着信通知の無料化などの新サービスも打ち出し、「斬新なブランドイメージが定着しつつある」(幹部)という。

 派手な広告戦略も、かつて一気にインドでの知名度を上げた韓国家電のLG、サムスンを彷彿(ほうふつ)とさせる。

■増収狙い3G参入へ

 インドの携帯市場は急成長が続く。ニューデリー郊外のムニルカ市場には、50店以上の携帯ショップが並び、買い物客でごった返す。店を切り盛りするアリさん(29)は「店は増えたが、それでも1日10台以上は売れる」。売れ筋は4千〜5千ルピー(約7800〜9700円)のカメラ、ラジオ付き機種という。

 05年に5千万件余りだったインドの携帯加入件数は、今年11月末で5億604万件に達した。

 ただ各社が得る1契約あたりの通信料収入は減少している。09年4〜6月期の平均月間料金は185ルピー(約360円)と、前年比で約22%減った。値下げ競争が強まっているからだ。

 そこで各社が狙うのが日本では浸透している3Gサービスだ。大容量の高速データ通信やテレビ電話のやり取りができ、より多くの収益が見込める。インドでは国営通信会社が今年2月に初めて3Gを始めた。政府は、民間企業向けの事業入札を来年1月にも実施する。TTSLも、3Gを世界に先駆けて事業化したNTTドコモの技術協力を得て、入札に参加する方針だ。(ニューデリー=高野弦)

■市場まだまだ拡大

 今後の戦略をTTSLのアニル・サルダナ社長(50)に聞いた。

 ――タタ・ドコモが好調な理由は。

 「ドコモの技術力とタタへの信頼性、それに新たに導入した料金体系が受け入れられた。業界には様々な料金プランがあったが、複雑すぎて満足度が低かった。累積加入件数は現在、業界6位の約5千万件だが、2011年には1億件を突破し、3位に入ることを目指している」

 ――ドコモとの提携でどんな効果が出ていますか。

 「委員会をつくり、通信技術、新サービス、ブランド戦略など分野ごとに協力している。定期的に両社のトップも参加。おかげで通信ネットワークの質は著しく改善した。『iチャネル』はインドで初めて導入した。今は3Gに参加するべくドコモと準備している。3Gでは多様なサービスの提供が可能となり、利用拡大につながる」

 ――インドの携帯市場の成長余力をどう見ますか。

 「まだまだ拡大する。都市部では1人で2〜3台を持つ人も多くなっている。地方での生活も変えた。農家が携帯で市場での取引価格をきけるので、仲買人に買いたたかれなくてすむ。貧しい人や地方の人が携帯の利用を始めることをだれにも止められない」

 ――価格競争が激しく、業界の収益見通しに悲観的なアナリストもいます。

 「新規参入が相次ぐ今は、価格競争が激しくなるステージ。近い将来、利用者が業者の選択を始めれば、収益は改善されていくだろう」

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