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日用品もエコで売れ 大手、CO2削減商品競う

2010年1月12日3時5分

写真:衣料用液体洗剤「トップNANOX(ナノックス)」を生産するライオン大阪工場。20日の発売に向け、フル生産が続く=堺市、寺西写す衣料用液体洗剤「トップNANOX(ナノックス)」を生産するライオン大阪工場。20日の発売に向け、フル生産が続く=堺市、寺西写す

写真:イオンが「トップバリュ」ブランドの粉末洗剤のカタログに表示したカーボンフットプリント=同社提供イオンが「トップバリュ」ブランドの粉末洗剤のカタログに表示したカーボンフットプリント=同社提供

 日用品大手が、環境への負荷を減らした生活必需品の開発を加速している。増え続ける家庭の二酸化炭素(CO2)排出量を減らすには、毎日使う日用品の見直しが欠かせないからだ。製品ごとにCO2排出量を示す制度も始まり、「環境対応」が今年の売れ筋のキーワードになりそうだ。

■すすぎ回数バトル

 大阪湾に面した堺・泉北臨海工業地帯にあるライオンの主力生産拠点、大阪工場(堺市)。包装ラインの一部は24時間フル稼働し、20日発売の衣料用液体洗剤「トップNANOX(ナノックス)」が次々と箱詰めされていく。

 ナノックスは「液体洗剤で首位を狙う」(ライオンの藤重貞慶社長)戦略製品。パーム油などの植物由来の洗浄成分を使うことで洗浄力を高め、通常2回の洗濯機のすすぎも1回に減らせるという。

 迎え撃つのは、花王が昨夏発売した衣料用液体洗剤「アタックNeo(ネオ)」。新開発の洗浄成分で、汚れを素早く落とせるようにした。ドラム式洗濯機の場合、従来の洗剤を使うより1回の水の使用量が約3割(15〜24リットル)減る。店頭想定価格は350円程度と、通常の洗剤とあまり変わらず、発売後1カ月で1千万本出荷した。

 両製品とも、使用時の節電で洗濯1回あたりのCO2排出量が減る効果を強調する。両社が競って売り出す背景には、国内CO2排出量(2008年度、速報値)をみると、工場などの産業部門が1990年度より減っているのに、家庭は3割増えていることがある。

 花王によると、同社の製品が国内で出すCO2排出量(07年度、法人向け製品の一部を除く)を原材料調達、開発・製造、物流、消費者の製品使用、製品廃棄の各段階に分けて試算したところ、製品使用時が330万トンと全体の半分弱を占めた。「洗剤は家庭で繰り返し使われるだけに、使用時の環境負荷を減らすことが欠かせない」(尾崎元規社長)というわけだ。

 両社は環境対応が今後の成長を左右するとみて、液体洗剤以外でも開発を強化する。

 花王は昨年6月、経営に環境の視点を本格導入する「環境宣言」を策定。2020年に売上高あたりの国内CO2排出量を05年比で35%、製品使用時の水使用量を30%それぞれ削減する目標を掲げた。これを実現するため、和歌山事業場(和歌山市)に約160億円投じ、11年に環境技術の研究開発拠点を開く。

 ライオンも、製品使用時の電気使用量が従来品より20%以上少ない、などの10の評価基準のうち、少なくとも一つを満たす製品を「エコ製品」と定め、開発を促す仕組みを導入した。国内販売品目に占めるエコ製品の割合(現在6割)を数年以内に9割に引き上げるほか、東南アジアなど海外向け製品にもエコ基準を設ける方向だ。

■原材料から廃棄まで

 日用品大手のCO2削減の取り組みは、製品使用時の対応にとどまらず、原材料の調達段階から廃棄されるまでの製品の一生(ライフサイクル)に広がりつつある。

 ユニ・チャームは06年度から、製品開発時にライフサイクル全体のCO2排出量を評価する制度を導入。例えば、焼却して捨てる時などに多くのCO2を出す紙おむつ。主力の「ムーニー」シリーズの開発では、おむつの厚さを減らすことに重点を置いた。その結果、素材の見直しなどで厚さを従来より平均3割圧縮でき、ライフサイクル全体の排出量を2割減らした。

 資生堂は昨年4月、環境対応の専門部署を設置。生産面では、乳液の生産工程で加熱作業を減らす手法を開発した。その手法を昨秋採り入れた大阪工場は、ボディー用乳液「ばら園ローズボディーミルク」を生産する時のCO2排出量を7割減らした。

 背景には、経済産業省が09年度から、製品のCO2排出量をわかりやすく示す「カーボンフットプリント」の表示制度を始めたことがある。ライフサイクル全体で排出される温室効果ガスをCO2量に換算し、製品に表示するものだ。消費者が製品を選ぶ際に、環境を意識してもらうのが狙いだ。経産省が委託した第三者機関にメーカーなどが排出量のデータを提出し、認められれば、表示できる。

 第1号は昨年10月、流通大手イオンが歳暮用にカタログ販売したプライベートブランド「トップバリュ」の粉末洗剤、食用油、食用米。経産省は3年の試行期間を経て表示制度を本格導入するかどうか決める予定で、まず日用品や食料品を中心に10年度末までに300品目に拡大したい考えだ。日用品各社にとっては、環境対応の成否が売れ行きを左右することになる。

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