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フォード、意地の展示拡大 北米自動車ショー

2010年1月13日2時48分

写真:新車発表の会見後、記者団の質問に答えるフォード・モーターのムラーリーCEO=11日、デトロイト、丸石写す新車発表の会見後、記者団の質問に答えるフォード・モーターのムラーリーCEO=11日、デトロイト、丸石写す

 【デトロイト=和気真也、丸石伸一】11日開幕した北米国際自動車ショーで、再建を目指す米大手ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの発表がさえない。展示を拡大したフォード・モーターとは対照的だ。日欧を含めた大手各社が披露した新型車はいずれも「環境」がテーマだが、戦略には違いも見える。

 倒産を免れたフォードと、倒産した2社の明暗が分かれた。ショー全体の規模縮小も止まらず、「ビッグ3」と呼ばれた米3社の地位低下と、中国に世界首位の座を奪われた米市場の地盤沈下を反映した形になった。

 寂しさも漂う会場で意地を見せたのがフォードだった。

 ショーの開幕を告げる北米カー・オブ・ザ・イヤーの発表で、乗用車とトラック両部門の受賞を独占。観客席から歓声を浴びながら、マーク・フィールズ北米担当副社長は壇上で「頑張ってくれた開発陣を誇りに思う」と語り、喜びを爆発させた。

 米大手3社で唯一、倒産を免れたフォードは、展示スペースを昨年の1.5倍となる「過去最大」に拡張。昨年12月の米新車販売の伸び率が日米大手で最大となった販売好調の勢いを感じさせた。

 一方、GMとクライスラーは昨年の倒産が影を落とす。

 GMは主力ブランドを従来の半分の四つに絞ったため、展示も大幅に縮小。空白ができた会場は、「エレクトリック・アベニュー」と名付けられた新コーナーとなり、電気自動車関連の企業が埋めた。

 例年は会社の顔として会見を仕切った最高経営責任者(CEO)は今年、新車発表の舞台に上がらなかった。昨年末の突然の辞任で、エドワード・ウィテイカー会長が暫定的なCEOを務めるが、観客席で見守るだけ。記者団に「(いま最も必要なのは)車を売り、金を稼ぐこと」などと語ったが、再建への決意を示す言葉はなかった。

 クライスラーに至っては、新型車の発表すらなく、地元大手としては異例の対応だった。同社を事実上の傘下に入れた伊フィアットのCEOを兼ねるセルジオ・マルキオンネCEOは、視察に訪れた米議会のペロシ下院議長らに、展示会場で経営戦略などを説明。記者団には「景気回復の兆候は、自動車産業の再生の始まりを示すものだ。新クライスラーにも再生のチャンスがある」と語った。

 ペロシ議長は2008年末、GMとクライスラーへの公的資金投入に尽力し、オバマ大統領を支える民主党の有力議員。両社の再建が失敗すれば、責任が及ぶ立場だけに、視察後の会見で「(両社の再建に)自信を持った」と強調した。

 だが、両社には「再建の見通しが立ったとは言えない」(米ストラテジストのジョン・ブランク氏)と疑問符がつく。今年の米新車販売は「1100万台」前後との見通しが大勢。追い抜かれた中国との差は詰まらず、ピークの1700万台には遠く及ばない。販売増が再建の条件となる両社には厳しい状況だ。

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