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ビール系、しぼむ市場 シェア争い過熱 出荷量過去最低

2010年1月16日2時4分

写真:年末商戦のさなか、目立つ売り場に自社のビールを次々に積み上げる営業担当者=09年12月、東京都内のスーパー年末商戦のさなか、目立つ売り場に自社のビールを次々に積み上げる営業担当者=09年12月、東京都内のスーパー

図:  

 2009年のビール系飲料の国内市場シェアで、9年ぶりに首位に立ったのは、割安な「第3のビール」に強いキリンビールだった。デフレ下の低価格志向に乗り、1缶100円の商品も現れて販売競争は過熱したが、課税ベースの出荷量は5年連続の過去最低。しぼむ市場でシェア争奪戦がやむ気配はない。 

 15日に発表されたビール系飲料(ビール、発泡酒、第3のビール)の課税ベースの総出荷量は、4億7250万ケース(1ケースは大瓶20本相当)。前年比2.1%減となり、現在の統計方法になった1992年以降で最低だった。00年からの10年間で、16%減った計算になる。各社は10年の総市場も「2〜4%は減る」と厳しく見立てる。

 09年はビールが6.7%、発泡酒が15.6%と大きく減らしたが、価格が最も安い「第3」は21.4%の大幅増。アサヒビールの「クリアアサヒ」やサントリー酒類の「金麦」など、各社主力の「第3」は軒並み過去最高の売れ行きとなった。

 ただ、ビールを飲む人が減り、チューハイや梅酒の人気が高まるなか、「第3」とはいえ、消費者の選別は厳しい。発売当初は350ミリリットル缶が100円と、安さを売りに登場した小売り大手のプライベートブランド(PB)商品も、触れ込みほどは広がらなかった。新商品の多くが「第3」に集中する一方で、「冷製サッポロ」(サッポロビール)など、販売をやめた商品は少なくない。

■ニーズ開拓が急務

 縮みゆく市場にあっても、年末商戦の12月単月の出荷量は前年同月比1.4%増と、6カ月ぶりに前年実績を上回った。不況で自宅にこもる人が増えたことも後押しし、一部の家庭向け缶商品が品薄になるほど、販売競争が過熱したためだ。その結果、09年は実際に売り上げた販売数量と工場からの出荷量とで首位が異なる事態が起きた。

 08年まで8年間シェア首位のアサヒは12月に入り、在庫を減らして「スーパードライ」などで攻勢をかけ、販売数量では09年も首位に立った。しかし、出荷量から算出するシェアは前年より0.3ポイント減らして37.5%。0.5ポイント伸ばして37.7%になったキリンに首位を明け渡した。

 ビール業界には、過度の安売りなどを防ぐ国税庁の指針がある。激しい販売合戦の末、祝い金などの名目や上限を超えた金額で、安売りの原資となるリベートを取引先に渡した事例が、09年も国税庁に数件指摘された。

 「コップの中のシェア争いより、右肩下がりの業界の活性化にエネルギーを注ぐべきだ」。サントリー酒類の相場康則社長はこう話す。キリンとサントリーの親会社同士の統合交渉がまとまれば、圧倒的な販売力を持つ巨大企業が誕生し、シェア争いの意味はますます薄れる。

 こうしたなか、「第3」より価格がやや高いアルコール0%のビール風味飲料がヒットするなど、新たな市場を生み出す動きも見え始めた。キリンの松沢幸一社長は「商品の価値を高め、新たなニーズを掘り起こすことがメーカーが生き残る道」と指摘する。(内山修)

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