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政治と銀行、際立った対立 ダボス会議が閉幕

2010年2月1日1時14分

写真:スイスのダボスで30日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の討論会で意見を交換する仙谷由人国家戦略・行政刷新担当相(左端)、中国人民銀行の朱民副総裁(右から2人目)ら=APスイスのダボスで30日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の討論会で意見を交換する仙谷由人国家戦略・行政刷新担当相(左端)、中国人民銀行の朱民副総裁(右から2人目)ら=AP

 【ダボス(スイス東部)=有田哲文】政財界のリーダーたちがスイスの保養地に集まって世界が直面する課題について意見を交わす世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)が31日、閉幕した。知恵を出し合う雰囲気は後退し、政治と銀行の激しい対立が際立った。

 オバマ米大統領は出席しなかったが、開幕日の27日から多くの討論セッションの話題をさらったのはオバマ氏が示したばかりの金融規制強化策だった。

 「銀行を小さくすることが解決策になるという証拠はない」。英大手銀バークレイズのダイヤモンド社長はそう指摘し、銀行の投機的な取引を制限し、銀行の規模も小さくすることを目指すオバマ政権の方針にかみついた。ファンド経営者は「ポピュリズム(国民の人気取り政策)がゲームを支配している」と顔をしかめた。

 こうした金融関係者に反撃したのはサルコジ仏大統領。開幕演説で「銀行員の仕事は投機ではない。オバマ氏は正しい」「雇用と富を破壊した人びとが高額の報酬をもらうのは、弁護の余地がない」と訴えた。

 2008年秋の金融危機の前まで、利益を追う銀行と経済成長を求める政治家の関係は良好だった。00〜07年の米国での金融機関による政府へのロビー活動を調べた国際通貨基金の報告書によると、ロビーの活発な金融機関ほど、リスクの高い貸し出しをしていた。 しかし、リーマン・ショックでその構図が変容。「経済新自由主義の象徴」と言われたダボスもその一翼を担った、という「反省」の空気が覆ったのが昨年のダボス会議。それが今年は「政治VS.銀行」の非難合戦に転じた。

 金融危機から1年以上たって亀裂が深まったのは、皮肉にも景気が回復に向かったからだ。市場では回復を先取りして取引が活発になり、金融機関の利益、そして銀行幹部の高報酬につながった。一方で失業率は高いままで、「税金で救われた銀行がなぜ」との世論は危機直後よりもむしろ強まっている。米国の中間選挙、英国総選挙が予定される「選挙の年」であることも政治家を敏感にさせている。

 銀行幹部の報酬に特別課税することで与野党が足並みをそろえる英国のキャメロン保守党党首が29日の討論で、英銀スタンダード・チャータードのサンズ最高経営責任者(CEO)と席を並べた。2人が意見の一致をみたのは「政治と銀行の関係が変わってしまった」点だった。

     ◇

 ダボス会議 スイス・ジュネーブに本拠を置く非営利財団、世界経済フォーラムが毎年保養地ダボスで開く年次総会。主催者のクラウス・シュワブ氏がジュネーブ大教授だった71年に欧州の経営者ら440人を集めてシンポジウムを開いたのが始まり。その後、政財界のトップたちが世界経済や環境問題など幅広いテーマで意見交換し、メッセージを発信する場に。ダボスの議論は国際的に強い影響力を持つまでになった。今年の参加者は約2500人。

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