現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. ビジネス・経済
  4. コラム
  5. 経済を読む
  6. 記事

中国不動産、1月9.5%上昇、政府は「バブル」警戒

2010年2月12日1時36分

写真:杭州市の高級マンション。先月、隣接するオフィス棟で大量解約が判明した=中国浙江省、琴寄写す杭州市の高級マンション。先月、隣接するオフィス棟で大量解約が判明した=中国浙江省、琴寄写す

図:  拡大  

 中国国家発展改革委員会が11日発表した1月の全国70都市の不動産価格指数は、全国平均が前年同月より9.5%上昇した。昨年6月、前年同月比でわずかにプラスに転じ、1年たたずに上昇率は10%に迫る。リゾート地の海南省三亜で3割近く値上がりするなど多くの都市で「バブル」が懸念される。ただ、警戒する中国政府は価格抑制にかじを切っており、市場には微妙な変化も出始めた。

 「いま買わないと、もう買えないと思った」。昨年10月にマンションを買った北京市の女性(28)は決断の理由をこう話す。場所は市中心部からやや東の郊外。広さ65平方メートルで、買った時は約90万元(約1200万円)だったが、今は約130万元になった。3カ月余りで4割以上の値上がり。「やっぱり買っておいてよかった」

 中国の不動産価格は「バブル」的な上昇が全国各地で続く。北京の1月の不動産価格は前年同月比10.2%の上昇。市当局が実施する土地使用権の入札でも、「地王」と呼ばれる過去最高額での落札が昨年から相次ぐ。

 中国を代表する観光地の一つ、西湖で知られる浙江省杭州市。1月の不動産価格は同12.7%上がった。高級物件が集まる地区にある不動産仲介業の男性は「昨年初めに1平方メートル当たり2万元だった物件が、今は3万8千元になった」と話す。しかし完売したはずのマンションでも空室が目につく。「(投資目的が多く)実際に住んでいる人は少ないから、名義変更するだけでいい」

 中国南端の海南島にある海南省三亜市は同29.2%の急上昇。投機的な資金が省外から集中し、市当局の担当者は今月、マンション購入を「1人5戸まで」に制限する方針を中国紙に示した。

 こうした不動産バブルの背景にあるのは、昨年前半の極端な金融緩和や、人民元の対ドル相場が上がらないよう実施しているドル買い元売り介入により、国内でだぶつく資金だ。

 急激な値上がりで住宅に手が届かなくなることに市民は不満を募らせる。「住宅購入をあきらめ、頭金用にためてきた資金を取り崩して『せめて自動車を』とディーラーに来る客も増えている」(日系自動車メーカーの現地法人幹部)という。

 不動産バブルに警戒感を強める中国政府は昨年末、不動産市場下支えからバブル抑制へと明確に政策を転換した。1月上旬には、投機的な住宅購入を抑えるため、2軒目の住宅を買う場合には価格の40%以上を頭金として支払うよう求める方針を通知。中国人民銀行(中央銀行)も市中からの資金吸収を強化しようと1月中旬、1年7カ月ぶりに金融機関の預金準備率を引き上げた。

 政策転換を受け、過熱する一方だった不動産バブルに微妙な変化も見える。

 杭州市の上城区で先月15日、マンションと同時に開発されたオフィス棟の23、24階にある18室の売買契約が一斉に解約され、市政府系サイトに公示された。解約した契約主は18室とも開発を進める不動産会社の関連会社。不動産会社の担当者は「壁をぶち抜いて一つのフロアにすることになり、契約を整理するために解約した」と話すが、当局方針に反して売り惜しむための「偽装売買だったのではないか」(地元紙)との指摘が出た。

 実際、杭州市郊外の余杭区の物件でも大量解約があったほか、浙江省嘉興市や江蘇省南京市などでも同様の解約が報じられた。佑威不動産研究センター(上海)の陸騎麟・副主任は、政府の政策転換で「一段の値上がりが期待しにくくなり、『塩漬け』の必要がなくなった」と指摘する。

 北京市では今月初め、市郊外の順義区の土地を約50億元と過去最高額で昨年落札して「地王」誕生と騒がれた不動産会社「大竜地産」が、落札を市当局から取り消された。購入代金を期限までに用意できなくなったためだ。今後の入札参加資格を失い、保証金2億元も没収された。

 不動産バブルとともに業績を急速に伸ばした同社だが、昨年の純利益は約3億4千万元に過ぎず、「本当に払えるか疑問」との指摘が出ていたうえ、政府の政策転換で資金が集めにくくなったようだ。昨年1年間に約4.5倍になった株価は落札取り消し翌日、ストップ安を記録。今も1月中旬より約3割低い水準にとどまる。

 上海株式市場全体もこのところ弱含みで、代表的指数の上海総合株価指数の終値は先月27日に3カ月ぶりに3000を割り込んだ。下落を主導したのは不動産関連株で、業種別指数の「不動産」は昨年末より1割以上下がっている。(北京=琴寄辰男)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介