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「説明不足」米に失望感 トヨタ3回の米公聴会終わる

2010年3月4日3時9分

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写真:リコールによる販売への影響が懸念される中、販売促進活動を強化するトヨタ自動車の販売店=米バージニア州、寺西写すリコールによる販売への影響が懸念される中、販売促進活動を強化するトヨタ自動車の販売店=米バージニア州、寺西写す

 【ワシントン=尾形聡彦、寺西和男】トヨタ自動車の大規模リコール(回収・無償修理)を巡る米議会の3回の公聴会が2日、終わった。トヨタ側が陳謝を繰り返したことで、過熱していた米世論やメディアのトヨタ批判も沈静化の兆しをみせ始めている。2日の公聴会への米メディアの関心も過去2回ほど高くなかった。ただ、同社がなぜ安全対策で後手に回ったのかという根本的な疑問への答えは不十分なまま。議会には失望感も広がり、追及はさらに続きそうだ。

■対応遅れ、続く当局調査

 「結局は、いかに説明責任を果たすのかという問題だ」

 2日午後、米上院の商業科学運輸委員会の公聴会終了直前。委員長のロックフェラー上院議員(民主)はトヨタ幹部らを諭すようにこう語りかけた。委員長が求めたのは「いつ、どう安全対策を後回しにする決断をしたのか」。

 知日家で豊田家との親交も深いロックフェラー氏が、約13分にわたって真摯(しん・し)に訴えかけたにもかかわらず、トヨタ側の答えは「顧客のために努力したい」という趣旨の漠然とした内容。質問と答えがかみ合わない様子は、米上下院で開かれた計3回の公聴会を象徴していた。

 意図せぬ急加速の原因に電子制御の不具合があるとの見方に対しても、議員側に疑念が残ったままだ。

 「電子制御スロットルシステム(ETCS)をつけた車を4千万台発売しているが、意図しない急加速の原因がETCSだと特定されたケースは一件もない」。内山田竹志副社長(技術担当)は電子制御の不具合を問われ、技術的な面を交えながら答えた。しかし質問者のドーガン議員は引き下がらず、他社とトヨタとのセンサーの写真を示しながら細かく指摘。「多くの人が何かあると思っているものと(トヨタの説明は)食い違っているように見える」と指摘した。

 トヨタは、従来は日本だけで決めていたリコールの決定に北米などの地域代表も参加させることや、全新モデルへのブレーキ優先装置の装着、品質問題を助言する外部機関の設置、電子制御問題での新調査の着手など、品質・安全対策の改善を打ち出した。

 ただ、米議会は新たな追及姿勢を強めている。焦点の一つは、トヨタが、横転事故などを巡る係争で、重要資料を隠していたのではないかとの疑惑だ。疑念が高まれば、再び公聴会の開催に発展する可能性もある。

 一方、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は、リコールに至るまでのトヨタの対応に遅れがなかったか検証しており、法律違反が見つかれば制裁金を科す方針だ。リコールの対応の遅れについては米連邦大陪審も調査に乗り出しており、刑事事件に発展する可能性も残っている。

■「値引き」巻き返しへ 米新車販売2月も減

 トヨタ自動車の販売減が止まらない。2日発表した2月の米国での新車販売は、主要メーカーで唯一、2カ月連続の大幅減だった。2日からは「過去最大」の実質値引きキャンペーンを始め、巻き返しを図る。

 ワシントン近郊のバージニア州アレクサンドリアにあるトヨタ自動車の販売店。ある年配の夫婦が娘のために1月に購入したばかりのカローラを、2月に入って返却してきた。「安全面が不安だから」と説明したという。

 この店の2月の販売台数は前年同月より23%少ない105台。同店幹部は週末に大雪が続いたことが最大の要因と説明するが、「リコールの問題もいくらか影響していると思う」と打ち明ける。

 トヨタの2月の米新車販売は、前年同月比8・7%減の10万27台。米市場全体が同13%も伸びたのに、前月に続いて大幅に減った。

 販売てこ入れのため、トヨタは2日から「過去最大」というキャンペーンを始めた。4月5日までの約1カ月間、トヨタの主要8車種を買った人には、ローン金利を5年間ゼロ%にするのが柱だ。「実質値引きで本来の販売水準に戻したい」(広報)と意気込む。

 だが、他社の攻勢は激しい。

 「乗っている車はトヨタ? それなら値引きは1千ドル(約9万円)上乗せして3500ドルだ。見積もりをメールで送るから返事を待ってるよ」

 トヨタの人気が高いカリフォルニア州ロサンゼルス郊外。韓国・現代自動車の店でネット販売を担当するバレンシアさんは電話を切ると「最近、トヨタ車オーナーからの電話が多いよ」と笑った。2月半ばからトヨタ車を対象に値引き額を積み増した。

 フォード・モーターやゼネラル・モーターズ(GM)の米国勢も、すでにトヨタ車からの買い替え客に1千ドルの値引きをしている。

 フォードは2月の米新車販売を前年同月比43%増の14万2285台と大幅に伸ばし、GMを抜いて11年半ぶりの全米トップに躍り出た。GMも2けた増を確保し、勢いづいている。米アナリストの間では「トヨタはリコール問題の悪影響を1年近く引きずるだろう」との見方が多い。(ロサンゼルス=中川仁樹、ワシントン=寺西和男、丸石伸一)

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