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日銀、資金供給を増額 決定会合 対政府、緩和アピール

2010年3月18日2時1分

 日本銀行は17日に開いた金融政策決定会合で、金融市場への資金供給の増額を決めた。昨年12月に始めた新型資金供給策による供給額を現在の10兆円から20兆円に増やし、金融緩和の姿勢を強めた。

 資金供給の拡大は、政策委員7人(総裁、副総裁2人、審議委員4人)のうち5人が賛成し、須田美矢子、野田忠男両審議委員が反対した。政策金利(年0・1%)は、全員一致で据え置いた。新型の資金供給策は、国債などを担保に期間3カ月の資金を年0・1%の固定金利で貸し出す仕組み。

 日銀は、金融危機直後に始めた「企業金融支援特別オペレーション」を予定通り月内で終える。この手法による資金供給の残高は直近で6兆円。新型資金供給策の増額から差し引くと、実質的な供給の上積みは4兆円程度になる。白川方明総裁は会合後の記者会見で「景気や物価の改善を後押しするための追加緩和だ」と説明した。

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 日本銀行が17日の金融政策決定会合で、「追加緩和」に動いた。景気の持ち直しをより確実にするため、資金供給量を増額。デフレ脱却に向けて日銀の緩和姿勢を強調する狙いがある。特に、このタイミングでの決定は、追加策を期待する政府を強く意識したものといえそうだ。

 会合では、昨年12月に始めた新型の資金供給策で市場に流す金額を現在の10兆円から20兆円に増やすことを決めた。正副総裁を含む政策委員7人のうち、2人が反対した。別の資金供給策が月内で終わることから、実質的な供給の上積みは4兆円程度だが、白川方明総裁は会合後の記者会見で「景気や物価の改善を後押しするための追加緩和だ」と説明した。

 日銀は足元の景気について「持ち直している」との判断を据え置いたが、設備投資は前月の「下げ止まりつつある」から「下げ止まっている」に上方修正した。政府も3月の月例経済報告で、8カ月ぶりに景気判断を引き上げた。白川総裁は「総括判断は変わっていないが、全体的にいくぶん、上ぶれて推移している」と説明した。

 昨年12月の新型供給策の導入で、5年程度までの金利が低下した。米短期金利よりも日本の方が高く、円高の一因となっていた「逆転現象」も解消。為替は1ドル=90円程度で落ち着いている。

 それなのになぜ、「追加緩和」をするのか。会見ではその点に質問が集中。白川総裁は「金利低下幅は限られ、効果もおのずと限られているのも事実」と話す一方、「政府との関係で、物価安定という目的に照らしてしっかり行動していると見られることが非常に大事だ」と述べた。

 政府からは2月以降、デフレ克服に向け、「年内に物価プラスを」(菅直人副総理兼財務相)など、追加緩和への期待が強まっていた。

 「劣勢を挽回(ばん・かい)したい。世論形成で手伝ってほしい」。日銀幹部は、3月に入るとこう言って、エコノミストや有識者らに接触を重ねた。「追加緩和は、効果のあるなしよりも、政府と一緒に『何かやっている』という姿勢を見せることが大事だ」と強調したという。

 昨年11月の政府の「デフレ宣言」の直後の会見で、白川総裁は「デフレにはいろいろな定義がある」と発言し、政府との認識の違いが浮き彫りになった経緯がある。日銀の執行部内では、日銀の独立性にこだわるあまり、政府との関係が悪化した速水優元総裁を引き合いに、「白川総裁の『速水化』」を心配する声もあがっていた。市場では「政治の風圧がなければ、追加策は導入しなかった可能性が高い」(エコノミスト)との見方が一般的だ。

 物価下落はここにきて縮小テンポが鈍り、日銀が4月下旬に改定する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、改めて2011年度まで物価下落が続くとの見通しを示す可能性がある。新型資金供給策の貸出期間を現在の3カ月から6カ月へ延長することや、国債の買い入れ増など、追加策を「小出し」にして緩和姿勢を印象づけていく、との見方が多い。

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