2011年5月27日10時53分
国内の生命保険大手8社の2011年3月期決算が26日出そろい、6社が本業の生保事業の利益を減らした。東日本大震災での保険金支払いの増加や株価下落が響いたためだ。
■東電株急落も影響
8社のうち5社は、銀行などの窓口での保険販売が好調で、売上高にあたる「保険料等収入」を前期より増やした。
だが、生保に加入している被災者への保険金や給付金の支払い見通しが8社合計で約1600億円になった影響で、6社が保険本業のもうけを示す「基礎利益」を減らした。
さらに日本生命と第一生命は、保有する東京電力の株式の価格が震災後に急落したため、それぞれ約1千億円の評価損を出し、純利益が減る要因になった。
ただ、震災関連の保険金支払いは、損保業界の計2兆3千億円超に比べると大幅に少ない。このため、純損益が赤字に転落したところはなかった。
12年3月期では、被災地での営業が制限されるため、8社すべてが減収を見込む。日本生命は岩手、宮城、福島3県の計7拠点の復旧のめどが立っていないという。
一方、外資系や新興生保の主要5グループも、アメリカンファミリーを除く4グループで本業の利益が減った。
■規制強まり体力低下
金融庁の規制強化で、生保各社の「体力」を示すソルベンシーマージン比率が軒並み急低下した。
今回初めて公表された新基準での比率は、各社とも従来の基準より6割ほども下がった。最も低い朝日生命は361%まで下がり、金融庁が経営改善を指示する水準の「200%未満」に近づいた。
体力を回復させるため、各社は26日の決算発表の記者会見で、株式会社の自己資本にあたる「基金」を積み増し、資本増強する方針を表明した。
朝日生命は来年3月に返す予定だった1200億円の返済時期を先延ばししてもらい、しばらく基金に積んでおく。さらに保有株式をできるだけ売り、ソルベンシーマージン比率を下げないようにする。
初瀬良治常務執行役員は「日経平均株価が(現在の9500円から下がって)6000円を下回っても、比率は200%にならない」と述べ、経営の健全性に問題がないことを強調した。(寺西和男、岡林佐和)
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〈ソルベンシーマージン比率〉 保険会社が契約者に保険金を支払うために、どれだけ資金に余裕があるかを示した数値(単位は%)。数値が高いほど健全とされる。金融庁は200%を下回ると経営改善を指示し、0%未満まで下がると業務停止を命じる。
2008年秋のリーマン・ショック直後、損失を被る恐れが高い金融商品で資金運用していた旧大和生命が経営破綻(はたん)した。金融庁はこの反省などから規制を強め、比率の算出基準を厳しくした。新基準では、損失を被る恐れが高い株式などを持っていると従来よりもソルベンシーマージン比率が低くなる。11年3月期決算で新基準の比率が参考値として初公表され、12年3月期から導入される。