2009年4月27日10時13分
この言葉は01年に『Life Strategies』という当時、米国で大ヒットした本から学びました。あまりにもこの本には感動したので、08年に自分の訳書(『史上最強の人生戦略マニュアル』きこ書房)として出版してしまったくらいです。
30歳のころ、私は世の中には絶対的な真実があり、それさえ信じて守っていれば、自然と自分にとってもいいことが起きる。だから自分の言動が他人にどうとられるかなど気にせず、正しいことを淡々と行っていけばいいのだと、固く信じていました。
だからこそ、私の言動に対して他の人から一時的な誤解があったとしても、自然に解決するし、自分が不断の努力をしていれば、必ずうまくいくと信じ切っていました。
しかし、実際には何が起きたのでしょうか。まず、どんなに自分が正しいと思って動いても、相手からそうとられず、努力すればするほど反感を買うこともしばしばありました。また、相手のためと思って行動したら、かえって恨まれることもありました。
ほかにも、社内でまじめに仕事をすれば報われると思っていたのに、ろくにこちらの仕事を知らない人から、印象だけで「あの人は気に入らない」と、裏で足を引っ張られたり、仕事よりも社内政治に力を入れるようなタイプの人に比べて評価が低くなったり、ということが実はたくさんありました。
自分独自の努力をし続けても、必ずしも結果が保証されているわけではありません。必ずこうなるという事実なんて存在しないのです。
私はそのことを、ずっと理不尽だと思っていましたが、「事実などない。認識だけだ」という言葉と出会うことで、ふーーーっと力が抜けたのです。そう、事実なんかなくて、さまざまなできごとについて、私たちがそれぞれの立場からどう解釈するか、ということだけなのです。ですから、私がどんなに自分が正しいと張り切っても、空回りしていることなんていくらでもあります。
ほんの少しだけ、自分を客観的に見る癖をつける。それだけで、実はすーーーっと視界が開けてきます。そのコツとして、この「事実などない。認識だけだ」という言葉が役に立つと思います。

1968年東京都生まれ。経済評論家・公認会計士。早稲田大学大学院ファイナンス研究科、慶応大商学部卒。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得し、マッキンゼー、JPモルガンなどを経て経済評論家として独立。05年、「ウォール・ストリート・ジャーナル」から「世界の最も注目すべき女性50人」に選ばれる。著書に「お金は銀行に預けるな」(光文社)など多数。
勝間和代さん主宰、ワーキングマザー及びその予備軍の女性が集うコミュニティ「ムギ畑」はこちら。