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公的年金が消えていく?

2009年8月5日15時24分

 サラリーマンが加入する厚生年金が、なんと10兆1795億円の赤字に陥っていることがわかりました。厚生年金だけでなく、自営業者の国民年金も1兆1216億円の赤字です。

 これほど膨大な赤字が出てしまった背景には、年金の運用を行っている年金積立金管理運用独立行政法人が、08年度だけで9兆6670億円もの損失を出したことがありました。

 年金積立金管理運用独立行政法人は、年金ムダ遣いの象徴のグリーンピアをバンバンつくった年金福祉事業団としてスタートし、あまりにイメージが悪いので2001年に年金資金運用基金と看板を掛けかえ、さらに2006年に現在の名前に変わりました。

 二度も看板を掛けかえたおかげで、利権まみれの年金福祉事業団のイメージは一掃されましたが、変わらないのは、厚生労働省の天下りの指定席であること。現在も、4人の役員中2人は天下りです。

 07年も5.8兆円ほどの運用損を出しているので、合わせると、この2年間で16兆円近い損失を出しています。

 この損失が、加入者の保険料アップや給付カット、受給年齢引き上げなどに表れてくるかもしれないことを思うと、ある意味、グリーンピアよりもたちが悪いかもしれません。

 今回の選挙では、各政党とも、天下りをなくすと言っています。自民党は、官民人材交流センターの再就職支援機能を廃止して、天下りの就職あっせんはしないとしています。中央省庁のキャリア官僚の多くを定年前に辞めさせる「早期勧奨退職」の慣行を改めさせることが前提です。また、独立行政法人に多い、役員の半分が天下りの指定席という構造に、本当にメスを入れられるのでしょうか?

 民主党も、「消えた年金」「消された年金」問題に国家プロジェクトとして取り組むとしていますが、現在進行形の「消えつつある年金」問題にも取り組んで欲しいものです。

 アメリカは株式投資が盛んな国ですが、大統領は就任した時に、年金のお金を株で運用しないと誓わせられます。なぜなら、国民の大切な老後を、危険にさらすことになるからです。この部分は、アメリカを見習うべきだと思うのですが、いかがでしょう。

プロフィール

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荻原 博子(おぎわら・ひろこ)

1954年長野県生まれ。経済ジャーナリストとして幅広く活躍。デフレを見越し、借金を減らし投資を控える「資産防衛」を一貫して提唱。現在、テレビ・雑誌・新聞などを通じて不況時の生活防衛策や、保険、金融、住宅問題など実戦的な提案を発信している。著書に「荻原博子の家計まるわかり読本」(学習研究社)「生命保険は掛け捨てにしなさい!」(ダイヤモンド社)など多数。監修した「ボクたちの値段」(講談社)も好評発売中。

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