東芝が、富士通のHDD(ハードディスク駆動装置)事業を買収する方向で交渉していることが14日、わかった。HDDはパソコンやデジタル家電などに使われる主要部品の記憶装置。今春までの実現を目指す。世界的な景気後退のなか、東芝はシェア拡大による事業強化を選び、富士通はこの事業から撤退する。
買収の対象は、富士通がHDDを組み立てているタイ工場とフィリピン工場、子会社の山形富士通(山形県)の開発部門。両社は週内にも社長同士が会談し、大筋での合意を目指す。買収額は300億〜400億円程度になるとみられる。
東芝はノート型パソコンなどに使われる「1.8型」「2.5型」と呼ばれる小型の分野に強い。調査会社のテクノ・システム・リサーチによると、小型分野ではシェア21%で世界首位。富士通も小型製品が主力で同分野12%で5位。東芝は富士通を取り込むことで、小型分野でのトップシェアを広げたうえ、HDD全体でも17%となり、3位の日立グローバルストレージテクノロジーズに並ぶ。
富士通の07年度のHDD事業は数十億円の営業赤字。競争で価格下落が激しい割には、規模が小さいためだ。昨秋には米大手のウェスタンデジタルと、事業にかかわる工場やその従業員を含めた一括売却で交渉していた。だが、金融危機で価格などの条件が折り合わず、交渉は暗礁に乗り上げていた。
その後、かつて事業統合などを検討していた東芝と、交渉を再開した。円盤のハードディスクを製造している山形富士通や、部品製造の長野工場(長野県)については、東芝は引き取らない。富士通では雇用維持を優先して、2拠点については他社への売却も検討する。