2009年6月18日6時25分
政府が関与して強い産業を育てる「産業政策」が注目され始めた。変化の激しい経済ではあまり意味がないとして90年代以降「時代遅れ」とされてきた政策が、金融危機をきっかけに帰ってきた。
フランスからドイツへ――。英国のマンデルソン経済相が大陸行脚を進めている。主題は、各国の産業政策から何を学ぶかだ。
自由な金融市場を大切にし、政府の役割はできるだけ抑える。それがサッチャー元首相、ブレア前首相の基本路線だった。しかし、4月に公表された産業政策方針で転換を鮮明にした。
文書は、読みようによってはざんげの書だ。「市場にまかせれば、自動的に公共の利益につながるわけではない」「オランダやドイツでは、政府の努力が再生可能エネルギーの技術につながった。英国は教訓を得るべきだ」。バイオや合金技術などの具体的な重点分野まであげた。09年予算では先進事業を後押しするための7億5千万ポンド(1200億円)の基金も用意した。
マンデルソン氏のアドバイザーは言う。「我々はこの航空機がいいとか、この電気自動車がいいとかまでは言わない。しかし、基盤となる技術には焦点をあてる。民間企業に対し政府からのはっきりしたシグナルが必要だ」
産業政策が後退したのは「次の産業は政府ではなく市場が決める」との考えが浸透したからだ。しかし、いまや経済再建のために強い産業をどう育てるかに関心が高まる。金融立国論も色あせた。
日本では、改正産業活力再生特別措置法が成立し、電機メーカーなどへの公的資本投入が動き出した。背景には「戦略的に重要な企業をいかにして支えるか」との経済産業省の発想がある。破綻(はたん)したゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの再建が課題の米国でも、環境にいい車作りを政府が後押しする。