【北川慧一、田幸香純、諏訪和仁】猛暑でエアコン業界に「特需」が起きている。関東などで暑さが本格化したこの1週間、販売台数は伸び、大手各社は増産に乗りだした。節電意識の高まりで、省エネにも知恵を絞る。出荷台数は最高だった昨年を上回る、との予想が早くも出ている。
■猛暑の数日、販売数3・5倍も
作業台に、白いエアコンの本体がぎっしり並ぶ。ダイキン工業の主力工場、滋賀製作所(滋賀県草津市)は、家庭用エアコンをフル生産中だ。
生産ラインの稼働時間は1日約18時間に増えた。昼夜2交代で働く従業員が、毎日1〜2時間残業しなければ追いつかない。
昨年度はこの工場で85万台を生産したが、今年度は88万台に増える見通し。岡田慎也・常務執行役員は「今週は前年より3〜4割多く出荷した日もある。この3連休が夏商戦のヤマ場」と力を込める。
増産に追われるのは他のメーカーも同じだ。富士通ゼネラルは、6〜10日のエアコンの販売数量が前年比約2・5倍となり、増産を決めた。例年より早く5月からフル生産してきたパナソニックは、7月からさらに増やした。
夏商戦の最前線の家電量販店には、エアコンを求める客が押し寄せる。ヤマダ電機では、8〜11日の全店舗での販売数量が前年より3・5倍に増えた。「暑さが3日続くと『我慢できない』と購入を考えるお客が増えるようだ」(広報)
省エネ意識の高まりで買い替えが進み、昨年の国内エアコン出荷台数は過去最高の848万台だった。大手の幹部は「今年は880万台まで伸びる」と予想する。
■センサー・扇風機…省エネ機能でもしのぎ
政府が今夏も家庭に節電を求めるなか、エアコンもさらなる省エネ化を迫られる。だが、国内シェア首位のパナソニックによると、上位機種の消費電力は過去15年間で約半分に減ったが、ここ数年はほぼ横ばい。大幅な省エネ化は難しく、各社はきめ細かい工夫で涼しさを競い合う。