【動画】国産紅茶、静かに復活=大畑滋生撮影 |
【大畑滋生】国産の紅茶が、復活の兆しをみせている。生産量は1970年代から30年近く低迷していたが、九州の茶産地でも手がける農家が増え、いまや地域の土産品に名を連ねる。おなじみの輸入紅茶だけではなく、ときには「和紅茶」「地紅茶」も味わってみませんか。
段々になった急な斜面に、茶畑は折り重なるように広がっていた。
九州有数の茶どころ、佐賀県嬉野市。紅茶専用の加工機械を昨年入れたばかりの製茶工場が、ここにある。足を踏み入れると、強い緑茶の葉の香りがする。日本一の緑茶の産地・静岡県で19歳まで育った記者には、とても懐かしい。
「緑茶の製茶工場と何も、変わらないでしょう」。代表の太田裕介さん(39)が案内してくれた。紅茶も緑茶も、もとはツバキ科「チャノキ」の葉からつくる。加工する前の香りは、同じ「緑茶」なのだ。
4月ごろ、一番最初に摘み取る新茶は緑茶にする。その後に収穫する二番茶と三番茶が、紅茶になる。
緑茶と違って、紅茶はさまざまな季節にとれる異なる種類の葉を10種類近くブレンドさせ、味を一定に調える。さらに1年くらい熟成させ、味に深みを出す。
約3万平方メートルの茶畑を持つ太田家の紅茶づくりは、「国産紅茶を飲みたい」という客の声をきっかけに、20年以上も前に始まった。
当初は品質が安定しなかったが、1989年に商品化した。地元の温泉街の土産物売り場にも置かれ、通信販売で全国に売る。生産量の4割はいま、紅茶だ。新しい機械を入れたのは、紅茶に緑茶の強い香りが移らないよう、紅茶生産に本腰を入れるためでもある。
工場の隅で、急須でいれた太田さんの紅茶をいただいた。品のいい紅茶の味に交じり、飲み慣れた日本茶の渋さと甘い香りが、かすかに鼻を抜けた。