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中国で紙の生産が急増している。経済成長に伴い、雑誌やチラシなど印刷物向け需要が増えているためだ。昨年の生産量は約8千万トンで米国を抜いて世界一になり、「年産1億トン突破は時間の問題」ともいわれる。日本勢では王子製紙が約20億ドル(約1800億円)を投じて建設中の大型工場が来年末に稼働する。需要が頭打ちの日本から中国に成長の活路を見いだす戦略だ。
上海から車で1時間ほどの長江沿岸の南通に王子製紙の工場はある。東京ドーム44個分に相当する約203万平方メートルの広大な敷地では、高さ120メートルの煙突を備えた石炭ボイラーがほぼ完成。主要設備が姿を現しつつある。
原料を荷下ろしする埠頭(ふとう)はすでにできあがっていた。10年末に年間生産能力40万トンの設備を立ち上げ、数年後には80万トンに倍増。将来は120万トンまで増強する予定だ。当面は、急激に需要が増えている雑誌やチラシなどに使われる中国国内の紙の市場占有率(シェア)で約10%を狙う。
投資額約20億ドルは、日本企業による中国の1工場への投資としては過去最大級。現地法人の渡辺正社長は「日本、中国、東南アジアの市場の将来の一体化をみすえた最前線工場だ。この事業に浮沈がかかっている」という。
日本の製紙会社の対中戦略は輸出中心だが、王子は03年に工場建設を発表。だが、中国政府の外資政策の変更などにより、06年の稼働予定は遅れた。その間に、シンガポールに本社を置く製紙大手アジアパルプアンドペーパー(APP)グループなどが勢力を伸ばした。
少し黄色がかった自然な白色が主流の日本と異なり、中国では青っぽい白色の紙が好まれる。王子は昨年以降、日本からの輸入紙を試験販売して市場調査を重ねた。先行した他社の中には、取引先の印刷会社などから資金回収が滞る例も多く、代理店経由の販売を主体にする方針だ。