【奥山晶二郎】高級品と見られがちな「ボルドー」を、もっと気軽に――。フランスを代表する産地ボルドーで作られたワインを、もっと身近に感じてもらうための試飲会が23日、東京で開かれた。ソムリエらが選んだお手頃価格の100本を、飲食業者ら約500人が味わい、知られざる魅力を楽しんだ。
企画したのは、ボルドーワインの生産者、販売者、仲介業者らでつくる「ボルドーワイン委員会(CIVB)」。同委員会アジア代表を務めるトマ・ジュリアンさんは「実は、値段も味も、ものすごくバラエティーに富んでいます」。一般的に赤のイメージが強いが、おいしい白もたくさんあるといい「シンプルに楽しんで。まずは栓を抜いて」と強調した。
試飲会で披露されたのは国内のソムリエやワインスクール講師ら10人が味やコストパフォーマンス面などから評価した「バリューボルドー」と呼ばれる100本。価格帯1000〜3000円台と、お手ごろだ。
「ドライなアタック(第一印象)」「白コショウのニュアンス」など、テイスティングにつきものの独特な言い回しはマニアにはたまらないが、なじみの薄い人には少々とっつきにくい。このため、専門用語を知らなくても味や香りがイメージしやすいように、音楽やテレビドラマになぞらえたユニークな分類名も添えられた。
例えば、AKB48のヒット曲「ヘビーローテーション」。「シャトー・ペナン ブラン」という白のことだが、口当たりはすっきりしている一方、次第にパンチの効いた渋みが顔を出す。地下アイドルから出発し、東京ドーム公演まで駆け上がった軌跡をたどるような味わいだ。
「鳥獣人物戯画」と評された白の「シェ・デ・ボルデ・ブラン」は、グラスを回して鼻を近づけると華やかなフルーツの香りが立ち、今にもウサギとサルが取っ組み合いを始めそう。ところが口に含んだ途端、鋭さが突き刺さる。なるほど、素朴な墨絵をほうふつさせる。
思わずうなったのは「渡る世間は鬼ばかり」と表現された、赤の「カステル バロン ド レスタック ボルドー ルージュ」。味わう前から、おなじみのテーマ曲が頭の中に鳴り始め、一口含むと、どっしりた濃厚な味わい。まさに、愛憎渦巻く家族劇。舌の上でどこまでも続く余韻に、20年以上続く長寿ドラマの貫禄を見せつけられる思いがした。
これら100本のバリューボルドーについては、市販店でも一目で見つけられるよう、共通ホルダーがかけられる。CIVBでは11月8、9、10日に東京・赤坂サカスで、バリューボルドーを試飲できる有料のイベントを開催。期間中は、人気マンガ「神の雫(しずく)」の原作者ら、ワイン愛好家によるトークショーなども行われる予定だ。