総務省が来年新たに割り当てる電波の周波数帯をめぐり、携帯電話4社の争奪戦が激しくなっている。動画の閲覧やアプリ(応用ソフト)の取り込みがたやすいスマートフォン(多機能携帯電話)の普及でデータ通信量が飛躍的に増えており、新しい電波を獲得して回線に余裕をもたせ競争を優位に進める狙いからだ。
新たに割り当てられるのは900メガヘルツ帯(来年2月に1社を選定)と700メガヘルツ帯(来年後半に2社を選定予定)。ビルなどの障害物を回り込んで届くため、「プラチナバンド」とも呼ばれる。900メガ帯の選考基準作りは大詰めで、21日まで基準案への意見を公募している。選考は現在使える周波数も考慮されるため、この帯域の電波をもたないソフトバンクモバイルとイー・アクセスの事実上の一騎打ちとみられている。
ソフトバンクは米アップルのiPhone(アイフォーン)人気で契約者数を急増させたが、契約者からは「つながらない」という不満が高く、その解消策としても新周波数が不可欠としている。
ソフトバンク側は、今までつながりにくかったのは使える電波がビルの陰などに届きにくい2ギガヘルツ帯などに限られ、NTTドコモやKDDIより不利だったためなどと釈明。孫正義社長ら幹部は周波数あたりの利用者数を引き合いに自社への割り当てを主張、選ばれなかった場合には、行政訴訟も辞さない強気な姿勢だ。宮川潤一専務執行役員は「来年新しい電波をもらわないと会社が倒れる」と話す。
対するイー・アクセスの千本倖生会長は、ソフトバンクに真っ向から反論。「持っているほかの周波数帯を整備すればいい。新しい周波数がないとうちも会社がおかしくなる。我々のような新興企業にチャンスを与えることが市場を活性化させる」と引かない。
900メガヘルツ帯の獲得の行方は、携帯電話業界の勢力図を大きく変える可能性も秘める。それだけにドコモとKDDIも当然ながら割り当てを希望。ただ両社とも800メガヘルツ帯を持っているため、「700メガと900メガヘルツのいずれかをぜひ」(ドコモの山田隆持社長)と控えめだ。
総務省は選考条件に、周波数再編にかかる費用として1200億円以上(上限2100億円)を払えることに加え、高速通信規格「LTE」への対応や現在使っている周波数の混雑度合いなどをあげている。(長崎潤一郎)