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2011年12月23日
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賢者に聞く グローバル時代の経営術

仕事の進め方を世界レベルで整える 三菱商事ユニメタルズの挑戦

聞き手・冨田秀継(ZDNet Japan編集長)

写真:三菱商事ユニメタルズ株式会社 CIO兼情報システム室長 大三川越朗氏三菱商事ユニメタルズ株式会社 CIO兼情報システム室長 大三川越朗氏

 三菱商事ユニメタルズは、上海と台北、バンコクなど、アジアの主要都市に駐在員を配し、非鉄金属取引においてアジアのリーディングカンパニーになるべく、ビジネスを拡大させている。

 同社のCIO(最高情報責任者)であり、情報システム室長を兼任する大三川越朗氏は「近い将来、アジアでのビジネス拡大が必要になることは必至だ。そのときどのように対応すべきか、過去の教訓を生かして今から準備しておく必要がある」という。

 本特集「賢者に聞く グローバル時代の経営術」の第4回では、同社のグローバル化への挑戦を紹介したい。

●グローバル化を阻むのは「属人的ノウハウ」

 大三川氏がいうグローバル化の準備とは「業務の客観化」だ。

 「商社の仕事は、コンピュータに頼る部分と人間のノウハウを生かして行う部分がモザイクのように入り交じっている。グローバル化するためには、まず“ホワイトカラーの業務プロセス”を客観化しなければならない」と大三川氏はいう。

 客観化にあたっては、まず業務プロセスを可視化する必要がある。たとえば、異動や急病によって優秀なAさんが抜けてしまったとする。Aさんは優秀であるがゆえに担当分野の仕事を一人で切り盛りしていたが、所属部署で誰もAさんの代わりになる人はいない。よしんば代わりになれたとしても、それは2年や3年先の話になるという状況だ。「属人的なノウハウ」に依存した業務は、増員で対応できない状況を作ってしまうのだ。

 こうした課題に対応するためにも、業務プロセスを詳細に可視化し、誰もが参照して業務を遂行できる環境を整える必要がある。

 「詳細な業務プロセスが属人化してしまうと、改善を検討するための可視化された資料が作成できない。その結果、ノウハウは会社の資産にならないばかりか、時代の変化にも即応できず、成長の波にも乗り遅れてしまう」と大三川氏はいう。

 三菱商事ユニメタルズは、今年の6月から3カ月にわたり特定非鉄商品取引の業務可視化プロジェクトを実施した。東京本社の業務プロセスを可視化することで、業務効率をアップさせることなどが狙いだ。

 今後アジアでのビジネス拡大を進めていくなかで、業務可視化プロジェクトの成果は海外の拠点でも活用されるようになる。大三川氏には「スタッフを一人前にするスピードを高めなくては、グローバル化に間に合わない」という危機意識もあったのだ。

●脱属人化を図る「業務プロセスの可視化」

 大三川氏は「新ビジネスの初期段階では属人的な業務遂行になりがちだが、成長が見込めるビジネスには、そのプロセスを可視化し、議論をしやすい環境を整備しておくことで、人員増強に伴う育成やシステム化の検討を容易にすることができる。これを早い段階から意識的に準備することが必要だ」という。

 また、「顧客満足度や業務効率のアップを目指した可視化では、プロセス処理のタイミングなど実務レベルでの要件定義に有益で、ある程度の詳細な粒度の可視化には専門家の支援が必要」だとも語っている。そのため、業務プロセスの可視化においては、CIOにも現場の深い業務知識が求められるとしている。

 三菱商事ユニメタルズでは今後、上海やバンコクでビジネスを成長させたい考えだ。そのためにどのような業務支援が必要かを見極めること――これこそグローバル化でITが担える役割といえよう。

プロフィール

冨田秀継(とみた・ひでつぐ)

1977年、北海道生まれ。IT専門誌、週刊誌、IT系オンラインメディアなどに携わり、現在は朝日インタラクティブ株式会社が運営するIT専門ニュースサイト「ZDNet Japan(ジーディーネット・ジャパン)」編集長を務める。いま話題の「クラウド・コンピューティング」の導入事例(http://japan.zdnet.com/cloud/case−study/)や、「ビッグ・データ」の解説(http://japan.zdnet.com/cio/sp_bigdata2011/)など、企業のIT活用を支援する製品・サービス情報を提供している。

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