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この遅れを取り戻せるのか?

2008年11月7日

  • 筆者 :風間深志

写真食べる前は全部で150ポンドと言ったのに、食べ終わったら500だと言い出したハルガダのレストランにて。結局、300ポンドに写真激安のガソリンスタンドにあるのは、ほとんどがディーゼル用の軽油だった写真紅海を横目に見ながら、ただただ走る

 11月4日(火)晴れ。これまでの大幅の遅れをどうやって取り戻すか、が我々の懸案である。

 未確認情報だが、あす5日の午前9時までにアスワンまで来れば、定期便ではなく荷物用ボートに車だけは載せられる。人間は金曜に船に乗って、土曜にはスーダンのワディファルファで車と合流できる――という内容の情報があった。

 はたして信じていいものかどうか? 行くならば今から24時間以内に900キロ近く走らなければならない。時間内に着けても、到着後に相当の時間を要する通関作業(2台の車と膨大な量の荷物の)でタイムアウトの可能性もある。そして何よりも人と車が別れるという大きなリスク。それらに要する費用の問題。朝食をとりながら、経験豊かなチェリーを相手に話し合う。

 両者の意見の相違点は、フランス人の「現場主義」に対して日本人の「事前準備決定主義」といったところだが、どちらも一長一短があって決め難い。われわれの旅は一見、風の吹くまま気の向くままやっているように見られがちだが、本当は神経を使う作業なのである。

 で、我々2人の出した結論は――。「行く道々で考えよう!」という、優柔不断なものだった。

 2台の車は快調だった。トラックの荷台には満載の物資(キャンプ道具、スペアパーツ、燃料、提供物資)を載せて、初めて目にする広々としたマレ・ロストラム(紅海)の大海原を左手に見ながら、南へ南へ一本道をひた走る。速度制限があるところは、乗用車が100キロに対しトラックは70キロで、うまく合致しない。ガソリンスタンドは50〜100キロおきに一軒ある程度。値段は何とも“激安”の1リッター1ポンド85(ガソリン・92オクタン価)で、日本円にすると40円程度だ。(軽油はさらにその半額)。

 行く手は木一本ない荒涼とした原野と、一方は青い海。20年前にここをバイクで走ったことがある。南から北へ「地雷が埋まっているので道路から決して外れるな!」と、すれ違いの軍人から忠告されたことを鮮明に覚えている。以来の道、紅海沿いの道はどこを見ても眩しく光る広々とした風景の中だった。

 午後3時過ぎ、遅い昼飯をアクア・スポーツでは世界の中心とも言われる「ハルガダ」の街でとった。ここで一発、シュノーケリングかセーリング、もしくはボートフィシングと洒落こんでみたいのだが。先を急がなければならない身の上。後ろ髪を引かれつつ、暗い山道をルクソールの街まで一気に突っ走った。

(本日の走行665キロ、10時間)

プロフィール

風間深志

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。

 主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)『2DKと大自然』(大和出版)『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。

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