2008年11月12日
貨物船に乗せて先行した2台の車
朝8時ころ、ナセルの湖面からアブシンベル神殿をのぞむ
雨なんか100年降らねえ、と言った青年と
ワディハルファの簡易ホテルの中
11月7日(金)〜8日(土)、晴れ。
70年に旧ソ連などの援助で完成したナセル湖は、海のように広い(幅3.6キロ、延長500キロ余)。鏡のように光る湖面を滑走する小型客船「シーナ号」がアスワンハイダム駅を出港したのは、乗船から6時間を経過した夜の8時だった。
月明かりの中を南に280キロ。途中のアブシンベル神殿を朝方に通過して、午後2時、ようやくスーダンのワディハルファの港に着いた。湖面の国境や「南回帰線」をいつの間にか越え、気温はぐんぐん上昇して34度を越えた。これからは夏の暑さとの戦いも始まる。
われわれの最も心配する、2台の車をはじめとする膨大な荷物の通関作業は果たしてどうなるのか?
なんと、こちらの緊張とは裏腹に難なく通過できてしまった。本来、カルネ通関(通過するだけの車両など一時的な輸入品に関する簡易通関制度)とはこうでなくてはならないのだが。
ワディハルファは、何とものどかなスーダン最北の田舎街である。人口は3000人と聞いた。今宵の宿と決めた簡易ホテル(一部屋500円)の玄関わきに座り、道端で売っている甘いティーを飲んだ。人なつっこいスーダン人が笑顔で話しかけて来る。
「ジャパンか、それともチャイニーズか?」。「ジャパンだよ!」と力強く言うと、「良い国だ、リッチな国だ」とみんな言う。横に座った青年に「雨はたまには降るの?」と聞いたら「雨?100年以上昔に一度降ったらしいよ」との答え。まんざらウソにも聞こえないから不思議だ。
その夜は、穴の開いた天井から素晴らしく沢山見える星をベッドから仰ぎ見ながら、ぐっすりと眠る。(けれど、寒すぎて夜中に起きた。何もかけるものがなかった)
(PHOTO by Y.MORINAGA)

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。
主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)、『2DKと大自然』(大和出版)、『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。