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スーダンの医療施設を訪ねて

2008年11月17日

  • 筆者 :風間深志

写真朝からたくさんの患者が訪れるセンターの待合室写真鉄棒を使って歩行訓練写真装具のフィッティングをしてもらうお年寄り写真11歳の少年の明るい笑顔を見て安心した

 この旅の中で一番美味かったものは、アレキサンドリアの海辺のレストランで飲んだ「マンゴージュース」。絞り立てドロドロの100%ジュースにはかなりの砂糖が加わっていたが、その冷たさと美味さといったらなかった。次は数日前にスバルの代理店の工場で出してくれた「フルーツミックスジュース」。軽いシャーベット状のマンゴーとレモンのミックスジュースで,乾いたのどにキリッと冷たく、甘酸っぱくさっぱり感のある絶妙の美味さだ。

 11月13日(木)、晴れ。スーダンでは最先端を誇る「National Authority For Prosthetics and Orthotics」。日本政府も支援している障害者のための運動補器(義手・義足など)の国立総合センターを訪ねてみた。

 朝の9時30分、まず最初に驚いたのは待合室のあまりの人の多さだった。外の道路まであふれんばかりの老若男女。松葉杖の人、車いすの人。聞くと「毎朝150人は並ぶ」のだそうだ。

 専門医の診察、カウンセラーや補器専門技師による問診、フィッティング、リハビリテーション、再調節、トレーニングなどの一連のプロセスを経て、患者は社会に復帰していくストーリーだ。ちなみに費用は無料!

 この施設の長所は、診察から補器製作、そしてリハビリまで同一施設の中で完結してしまうことだろう。ここまで充実した施設は日本にもないかもしれない。広い敷地の中には外来の診察棟、男女に分かれたリハビリ棟、そして器具を制作する工場、さらにはアフリカ赤十字社が自ら主催する補器類の製作技術者養成センターなどがあり、働くスタッフの顔つきはみな真剣だ

 なんでこうもスーダンには身体障害者が多いのか、施設の所長さんに聞いてみた。すると、なんと全体の40%もの人たちが、砂糖を多く使ったコーヒーやジュースなど、糖分の摂り過ぎが原因の糖尿病。次が幼児の小児麻痺で25%、そしてアフリカ特有のブラックコットンサンドといわれる黒い土のバクテリアから感染する「マドール」(腫瘍)が11%、残りが交通事故などらしい。(以前は戦争や地雷などによる原因が過半数を占めていた)

 裏の渡り廊下で、右足のフィッティングに来た11歳の少年と話をした。少年は3年前の交通事故で右足を膝上から切断したが、成長に合わせて、この日は新しい義足を受け取りに来たところだった。

 僕も自分の悪い方の足を少年に見せ、数年前のバイク事故のことと、足が悪くなった今でも夢を捨てずにこうしてアフリカを旅していることを話しながら「誰よりも自分が一番元気で生きていくんだよ!」――と言うと、少年はニコリと笑いながら強い握手を求めて来た。

 午後2時を過ぎてしまったが、今日からはいよいよエチオピアを目指して走る。夜の9時50分、400キロを走りエチオピア・ボーダーの隣町ゲダレフに着いた。

 (PHOTO by Y.MORINAGA)

プロフィール

風間深志

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。

 主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)『2DKと大自然』(大和出版)『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。

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