2008年11月19日
素晴らしい風景の連続
なんと木材の切り出しを山からやっていた
ブルーナイルに架けられたエチオピアと日本の友好の架け橋を見る
11月16日(日)、晴れ。さすがは熱心なキリスト教徒の国である。朝6時前からずっと、ホテル前のメインストリートをぞろぞろと、白い衣を着て手にヤシの葉を持った人々が絶え間なく教会の方向に向かって歩いていく。その数はざっと数千、いや1万人以上はいただろうか。
エチオピアは古代のエジプト人から「神の国」と崇められ、かの有名な350万年前の人骨「ルーシー」の発見をはじめ、モーゼがアークの箱に入れたといわれる「十戒の石版」の伝説など、世界でも最も古く、そして謎めいた歴史と長い伝統文化を感じさせてくれる国である。
多くの人々が教会に行きミサを歌う休日だというのに、我々は600キロ先の首都アジスアベバを目指して走るのだった。丘を越え山を越え、村々を抜けて、川を渡り、牧草とユーカリの森の中を南に向けてひた走る。国道は工事中の箇所がやたらと多く、砂煙をもうもうと巻き上げて走る工事用車両や、荷物を満載した長距離トラック、庶民の足となっている乗合バスなど、絶え間なくすれ違ったり、追い越したりで、決して気を緩められないドライブだ。
まわりの景色はすごい。淡い薄緑色の牧草地の中に黄色く一面の菜の花が咲き乱れる大丘陵地帯。あまりの美しさに車を止めカメラのシャッターを切っていると、どこからともなく必ずやって来る子どもたち。
「こんにちは」=お互いの挨拶。「日本から来たんだよ」=私。「何か下さい」=子ども。「えっ?」=私。「ペンか、お金ください!」=子ども。以上が、ほぼ会話のすべてだが、際限なく相手をしているとどんどん子どもたちの数は増えていき、ついには収拾がつかなくなってしまう。実は彼らが欲しがっているペンを、こんな時のために100本近くは持って来たのだが、ここだけで30本をあげてしまう訳にもいかず、グッと堪えて「さようなら」をする。みんな本当に可愛い子どもたちなのだ。
途中、ブルーナイルの流れがつくったグランドキャニオンのように大きな渓谷に架けられた建設中の橋を見た。看板には日本との国際援助によって建設されていることが書いてあった。谷から再び高度を上げ峠に登る。標高は3500m。気温は8度まで下がった。
夜の9時30分、標高2400mのアディスアベバに到着。608キロ走行。
(PHOTO by Y.MORINAGA)

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。
主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)、『2DKと大自然』(大和出版)、『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。