2008年11月22日
高さ5mもあるアリ塚にビックリ
典型的な現地の建物をバックに記念写真
午後7時30分、国境の町に着いた。ホッとした
11月19日(水)、晴れ。今回の旅の第1関門が「スーダンの砂漠越え」だとすれば、第2関門は明日から迎えるエチオピアのボーダー以後のケニア側ナイロビまでの「険悪難路」である。1週間ほど前にハルツーム(スーダン)で耳にした情報では、その10日ほど前に大雨が降って道路は水で埋まり、ドロ沼と化して通行不能になったらしい。
自然との巡り合わせ次第で人間の運命など簡単に変わってしまうのだから恐ろしい。―もしも道がそのままの状態なら、今回のアフリカ縦断計画はここで終わりになる。空路で人間だけ行くことも出来るが、陸路での車の移動は不可能だ。
そのあたりの情報を得るためにも一昨日、アジスアベバの日本大使館にも情報をもらいにいった。その時の情報では「通行不能状態にあるという話は聞いていない」が「それより以前に国境付近でソマリアの盗賊による襲撃事件が頻繁に起きているので、陸路での通行は本来は控えていただきたい」というものだった。
どちらにしても、いつでも冒険は辛いものなのである。こんな時、何もじっとして日本にいれば心配ないものを、と思ったりもするのだが、好きで選んだ道なのだからとフンドシを締め直し、それでも「もし銃撃されたらどうしよう?」と心の不安は隠しきれない。
朝8時、国境の町「モヤレ」に向けて出発する。南下する国道はどこまでも長閑だった。沿道には大きな葉を揺らして風になびくバナナの木が目立ち、南国のムードになってきた。昼飯は昨日と同じように木陰に座り、サンドウィッチを作って食べた。やっぱり外の飯は格別に旨いのだ! そして、今日もギャラリーは地元の皆さんをざっと50人は集めた。
沿道わきではさまざまなモノを売っているが、これまで見たこともない珍しいパイナップルを見つけたのでこれを買う。2人の青年が「俺のを買ってくれ!」と譲らず、ものすごい喧嘩になりそうだったので、7個セットを二つ20ブル(約200円)で買った。
道はどんどんと南下して、人の気配のない原野となった。3mから5mの大きなアリ塚があちこちに立っている。遠くの草原をガゼルの群れが走っているのを見た。道を横切る大きなイグアナも発見した。大ワシも間近で見ることが出来た。そして、暗闇の中で出会った人の顔つきが、これまでとはまったく違う人たちのようだった。そろそろ、あたりの気配は動物の王国ケニアにも近くになって来たようだった。
夜の7時30分、心配していたことも何もないまま、無事、国境の町モヤレに着く。本日の走行509キロ。明日は国境を越えるぞ!
(PHOTO by Y.MORINAGA)

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。
主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)、『2DKと大自然』(大和出版)、『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。