2008年12月14日
院長のアイサックさん
病院前でオールスタッフで記念写真
12月9日(火)、晴れ。朝6時起床、7時朝食、7時30分出発。340キロ南のキバハをめざす。キバハは首都ダルエス・サラームの郊外に位置し、主要幹線道路の集まる所。交通の要所にあってタンザニアで一番の外傷医療に取り組んでいる病院があると聞いて、訪問を試みる。
44年前、1964年の今日12月9日午前0時、キリマンジャロの山頂にタンザニア国旗が翻ったその瞬間から、この国の歴史が始まった。その独立を祝う記念の日、心配していた道路の混雑もなく、まるで高速道路のように真っ平らな原野の中を快適なドライブができた。
なにしろ出発してから340キロ、一つも信号機がなく、「ランナバウト」と呼ばれるロータリーを2度回っただけで目的地に着いてしまった。
待ち合わせの正午ちょうど、人口1万人のキバハに一つしかないというホテルの前で、農業家のニコデマス・バンドゥーカさん(元コースト州知事・63歳)に出迎えてもらい、さっそく病院に向かう。
「Tumbi Hospital」という病院の入り口で出迎えてくれたのは、院長のアイサックさんたち。外来の受付には6、7名の患者さんがけだるそうに順番を待っていた。院長室に通してもらい、今回のわれわれの目的を伝えながら、病院の現況を聞かせいただいた。
その話によると、周辺の交通事故の死傷者数は年間20%の増加傾向にあり、今後も増え続けることが予想される一方で、受け入れ側の当病院の現状は、「あるのは救急車1台とレントゲンが1台、手術室も1部屋。ICUもCTスキャンも高度な医療機器は何もないのが現状」というものだった。実際、救急車から患者がストッチャーで運ばれて来て、最初に診察を受ける部屋と、隣にあった6床の入院病室が外傷に関する施設のすべてだった。そして,残念ながらこれがタンザニアの外傷医療の最先端であると聞いた。
去年のユーラシア訪問時に経験したドイツ・ムルナウの最先端の施設について報告すると、アイサック院長は目を丸くしながら話を聞き、近く「REGIONAL REFERRAL HOSPITAL & TRAUMA MANAGEMENT CENTRE」の建設が、大統領を筆頭にした委員会によって計画されていると教えてくれた。
新しい病院の1日も早い実現を祈りたい。

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。
主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)、『2DKと大自然』(大和出版)、『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。