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ダチョウはただの通行人

2008年12月26日

  • 筆者 :風間深志

写真1900年製のダッジが転がっていた庭でキャンプした写真ダッジのエンブレム写真道ばたを歩いていたダチョウ

 12月20日(土)、晴れ。以前のペタウケ(ザンビア)の時の、けたたましい鶏の鳴き声とはまったく違うさわやかな小鳥の声で目覚めたボツワナの2日目、グエタのキャンプ場。暑くもなく寒くもなく、過ごしやすい気候の中で朝食を済ませ、今日はいよいよ「オカバンゴ・デルタ」へ向かう。

 国道を西に200キロ、何もない原野をひたすら突き進むと着く。とにかくどこまでも広い空と草原の続くこの国の面積は、日本の約1.5倍。そこに180万人しか住んでいないのだから、国土は空き地=原野ばかりである。

 道路の途中だった。道幅は両サイドの草地を入れて30〜40mだが、ここを我々と同じ方向に向かって2頭の大きなダチョウが歩いているのを見かけた。人間と同じようにただの通行人のような顔をして、黙々と歩いていた。

300mほど先にも3頭が歩いていた。どこに向かって行くのだろうか? 彼らもまた僕たちと同じようにこの自然に生き、この自然の中で生涯を全うする。自然は人間だけでなく、彼らにとっても生き甲斐や喜びのすべてであり、子孫を未来につなぐかけがえのないものである。

 身の回りから「野生」の姿が見えなくなった日本人には想像しにくい感覚だが、昨日、黒いエレファントを目の前で見た時もまた、柵や檻の向こう側の生き物ではなく実際に自分と同じ土俵上(自然界)に息づく生き物同士としての仲間の感覚(親近感や脅威も含めたリアリティー)を覚えた。——要はとてつもない身近さを感じたのだった。 

 MAUNの街には昼前に着いた。そしてガソリンを給油する。1リットル約100円。ディーゼルは約120円でガソリンの方が安かった。

それから、キャンプ場に行く前に絶対に欲しかったガスバーナーのガスと口火をつなぐジョイント金具(日本ならどこでも買える)を求め、あっちこっちのスーパーやら専門店を足を棒にして探したが、とうとうどこにもなく、この日の炊事はたき火で済ませることに。メニューは定番のスパゲティ。夜の南十字星が本当に綺麗だった。

プロフィール

風間深志

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。

 主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)『2DKと大自然』(大和出版)『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。

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