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大西洋に漂うオットセイ

2009年1月6日

  • 筆者 :風間深志

写真四つ目の大海原の大西洋に出た写真キャンプでお隣さんとなったおじさんは、こんなテントだった写真スワコップモントの私立病院で話を聞く松下隆運営委員長(右)写真ケープ・クロスのオットセイの大群

 12月26日(金)、晴れ。クリスマス翌日のボクシングデー(贈り物の日)。日本人のわれわれとしては、松下隆教授(運動器の10年日本委員会運営委員長)と合流し、さっそく現地で実務行動を起こしたいところだが、こちらのほとんどの業務は休日。午前中から国立病院やプライベート・ホスピタルなどを電撃訪問してみたが、残念ながら医師からの話を聞くには至らなかった。

 午後、ナミビア第2の都市スワコップムントに向かう。距離は450キロと長いが、さすがにナミビアを代表する主要幹線道路、路面も良好で予定を大幅に短縮して大西洋に面するリゾートタウン「スワコップムント」に着いた。ふだんの街の人口は4万人。折からのクリスマス&正月休暇で、その数は2倍に膨れ上がっていると聞いた。

 リゾート地特有のオシャレでカラフルな街並みを横目に、真っすぐメインストリートを西に突き進んで行くと、打ち寄せる白波が西陽にまぶしく光る大西洋に出た。広い大海原を見ると気分がスッキリする。これで地中海から始まって、紅海、インド洋、大西洋と、今回の旅では4つの海を見たことになる。

 夜は海岸近くのキャンプ場にテントを張って眠る。メインメニューはいつもながら「スパゲッティ」。お爺さんがイタリア人だったというジャンポールをはじめ日本人のわれわれはヌードル系が大好きで、この献立に異論を立てる者はいない。ちなみに、今回の旅では他のメニューになったことはただの一度もなかった。本日の走行470キロ。

12月27日(土)、晴れ。本日は土曜日。開いている病院を探し出して取材を試みた。訪問したのは街の北側にあるプライベート病院「コテージ・メディ・クリニック」。たった1人孤軍奮闘していたカレイ医師(ドイツ人)に、忙しい診察の合間を縫って少しだけ話を聞くことができた。

 カレイ先生の話によると、医療体制はGeneral Practitioner(総合医)をベースにして専門医は麻酔、内科、産婦人科など全部で5人だけ。整形外科の専門医は現在のところ街にはおらず、問題発生時にはウインドフックまで飛行機か緊急車両で搬送している。が、将来的にはトラウマ(外傷)の専門病院の計画はあるとのことだった。

 午後、スワコップモントから北へ115キロ。世界で最も多くオットセイ(ミナミアフリカ・オットセイ)の生息する場所として名高い「ケープ・クロス」に行く。波間に漂い岩場で体を休める数万頭のオットセイの鼻を突く異臭が強烈だった。また、親子を確認し合うというその鳴き声の騒々しさと、不運にも逸れた子どもの死骸の数に驚いてしまう。まさに自然淘汰の非情さ、凄まじさを感じざるを得ない。

 夜は再びキャンプ。星空の幾つもの流星に感動する。本日の走行245キロ。

プロフィール

風間深志

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。

 主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)『2DKと大自然』(大和出版)『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。

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