2009年1月7日
大西洋に面したデューンを走るフォレスターナミブ砂漠を走るフォレスター
汗をふきふきデューンを登る
ワルブィス・ベイから東に走ったダートのうち、唯一の舗装区間だった岩山の道
12月28日(日)、晴れ。昨日の夕方、街でキャンプ用の買い出しをしているところへ、同じフォレスターの新型に乗ったドイツ人親子が現れて「同じ車だね、僕のはナミビアで第1号のフォレスターなんだ。デューンを走ってみたくないか」と誘われ、この日朝一番で大西洋に面する砂丘地帯を2台で走りに行くことになった。
砂フカフカの砂丘走行は極めて危険である。ルートやその場所の砂丘の特性を熟知している地元の人の案内はありがたい。ついにナミブ砂漠を走るチャンスの到来! 現場に着くや否やタイヤの空気圧を通常の2.0キロから1.0キロに落とし、案内人の親子の車の後について走る。 最初はゆっくりと、砂の状態を確かめるように一回りして、徐々に加速をつけ、斜面を一気に登りはじめる。もちろんアクセルはベタ踏みの全開!(ここで日本人オフローダーの面目を潰してはならない)
エンジンはその持てる力をフルに吐き出して唸り、タイヤは全力で砂を蹴った。敵の乗る車のエンジンは2.5リッターで、こちらは2リッター(共にガソリン・エンジン)。最後まで同じトレースを踏んでいたのではこっちに勝ち目はない。砂丘の中腹で進路を右に振って小山に登り、その後の下降で助走をつけて一気に山頂に登る作戦である。案の定、ドイツ人親子は砂丘のてっぺん直前で失速して止まり、こちらは砂丘のてっぺんをちゃんと踏破した後に頭を下方に向けて止る。余裕の勝利!(こんな時、決して相手に勝ち誇った顔をしてはならない。難しいが心の中で笑うのだ?)
砂丘のてっぺんに立って、眼下のキラキラと輝いて広がる大西洋を眺める。まるで天下をとった様な清々しい気分だった。
その後、ジャンポールの運転するダイナと合流して南下を再開する。目指すはナミブ砂漠のド真ん中の「デザート・ロッジ」。街から南に30キロ、ワルブィス・ベイ(大西洋岸で唯一の良港)の街に入る手前から進路を東に取って、平原の中の一本道のダートを延々と235キロ、走りに走って目的地に着いた。ちなみに、その道中でハンドルを切ったのは右に1度だけだった。本日の走行265km。
12月29日(月)、晴れ。今ごろ年の瀬を迎えて日本は大忙しなのだろう。こちらの旅もそろそろ終わりに近づいてきた。気がつけばゴールまであと5日。そのゴールを前に、やっておかなければならないレポートや写真、その他の資料集めなどたくさんのテーマが山積している。
そんな気分の中、最もアフリカらしい朝焼けのデューン(砂丘)の痺れるような写真を撮ろう!と、朝の4時30分に起きでナミブ砂漠(ナミブ・ナオクルフト・パーク)の最奥地「ソススフレイ」に向かう。
その特徴あるアプリコット色の赤い砂漠は全アフリカの砂漠の中でも最も美しいと言われるもの。朝の冷たく清々しい大気を受けて、東の地平線から昇る太陽を拝む。刻々と変化する太陽の斜光を受けて燃え上がる大地の光と影のダイナミックなショータイムだ。思わずカメラのレンズをあっちに向けたりこっちに向けたり、あまりの素晴らしさに息つく暇もない。
ロッジから120キロ。思わず舌を噛みそうな「ソススフレイ」はナオクルフト公園のど真ん中にあった。もしや最奥部で湖を?と思った所は表面が白い塩分で覆われる「ドライレーク」がその正体だった。周囲には多くの観光バスとたくさんの人たちがいた。そして、どん詰まりの高いデューンには沢山の人たちが砂丘のてっぺんを目指して登っていた。
「登りましょう!」元気な仲間の一声に対して、咄嗟には声が出なかった。不自由な左足を引きずり砂に足を取られながら登るのは大変? といったんは思ったものの、気がつけばしたたる汗をふきながら砂丘のてっぺんに立っていた。
以前のリビング・ストーンの滝でもそうだったが、壮大かつ雄大な自然を目の前にした時、人間は白人も黒人もあらゆる人種、年齢、性別、国境を越えて、行き交う人々の全員の表情は明るく、優しく屈託のない自然な挨拶を交わすようになる。そんな嬉しい発見をここでもした。
レンガのようなデューンの赤と淡い緑色の草原、そして真っ青の広い空。いかにもナミビアを象徴するかのような長閑なパステルカラーの風景に暫し見とれながら「やっぱりナミビアが一番だな!」と、そう思った。本日の走行240キロ。

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。
主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)、『2DKと大自然』(大和出版)、『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。