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1250mの一気登り、それでも幸せです

2010年9月2日

  • 筆者 :風間深志

写真拡大これが内陸に100km以上も進んだ所の海である

写真拡大30km毎に休むパターンは北米と同じだ(上)。こちらは低い所のトンネル

写真拡大山のもの凄い高所のトンネル(上)。こちらもかなり高い所の岩のトンネル

写真拡大ノルウェーの田舎は相当さびれている(左)。苦しくても、この方がいい!と言った松下教授

写真拡大坂道を一本の足で、まったく元気に走るテツ(上)。私も必死に今日はがんばった

写真拡大高原大地を覆う氷河が直ぐそこにあった

写真拡大一日の走行を終えると、みんないい顔になる

 8月30日 月曜日 晴れ 気温7度

 海から100kmの内陸部とは言え、ここもれっきとした大西洋の海の延長。その海に面するコテージの朝、目覚めと同時に”寝ぼけ眼”でルアーロッドを持ち出し、コテージ正面に展開する川からの流れ込み付近を探ってみた。

 ーーーまだ明けやらぬ朝の冷気、辺りの静けさと雰囲気、水面の状況などから「かなりの可能性」を秘めている?と感じながらの第一投(ファースト・キャスト)。7gの魚型のスプーンが20m程先の水面に落ちた。すかさずリーリング、、、、何の当たりも無い。続く、第二投、、、も無い。そして、第三投、、、、何だか、期待度はメラメラの120%に対して、現実は一ケタ有るか無いか?のパターンになってきた。そんな気分は過去、何千回やってきたか分からない。だから、後は「あそこと、あそこを探ったら終わり!」と、ポイントの絞り込みが早いから(自慢している?)諦めるのも早い。結果、釣果ゼロ。

 朝の7時、コテージの中での朝食。テツからここまで来るまでの間、教わった<朝飯をがっつり食べておくとバテない>と言う教訓を踏まえてーーー「松下先生、朝ご飯いっぱい食べた方が力が出て、疲れませんよ!」と言ってみた。すると『嫌、疲れて消耗する方が痩せていい!』と、いつもの強気の答えが返って来た。

 

 その松下先生。二日目のかなりの激しい1250mの一気登りに、かなりの苦しい顔をのぞかせていたが、普段からの自転車でのトレーニングが功を成して何とか走りきった。辛い登り坂で顔をしかめている時に、、、「今の苦しさと、あの月曜の教授回診の目まぐるしい職場と、どっちがいいですか?」(病院の教授は一分単位の忙しさだ)と聞くと『こっちの方がいい!』と、素直に答えた教授の子供のような顔が面白かった。

 一方、一本足のテツはさすがに強かった。斜度8%の一気登り、そして、真っ暗闇の急坂S字トンネル、路面状況の極めて悪いタイトな登り坂など、きつい登りは延長50kmにも及んだのだったが、左足だけ、顔色一つ変えずに走りきった。さすがにパラリンピック日本代表は桁外れの体力だ。

 高原の大地は、とにかく美しい。清々しい空気と青空、そして、プラトーを覆う白く輝く氷河、瑞々しい川の流れ、、、総てはノルウェーの景色だった。

  

 本日の走行「Kinsarvik」から「Ustaoset 」までの115km。最後の最後だけが、気持ちのいい下り坂だった。

プロフィール

風間深志

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。

 主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)『2DKと大自然』(大和出版)『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。

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