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2012年10月16日

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ホンダN BOX+カスタム G・Lパッケージ(FF/CVT)

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写真:【スペック】<br />N BOX+カスタム G・Lパッケージ:全長×全幅×全高=3395×1475×1780mm/ホイールベース=2520mm/車重=1000kg/駆動方式=FF/0.66リッター直3DOHC12バルブ(58ps/7300rpm、6.6kgm/3500rpm)/価格=165万円(テスト車=171万8250円/ナビ装着スペシャルパッケージ=1万5750円/右側パワースライドドア=5万2500円)拡大【スペック】
N BOX+カスタム G・Lパッケージ:全長×全幅×全高=3395×1475×1780mm/ホイールベース=2520mm/車重=1000kg/駆動方式=FF/0.66リッター直3DOHC12バルブ(58ps/7300rpm、6.6kgm/3500rpm)/価格=165万円(テスト車=171万8250円/ナビ装着スペシャルパッケージ=1万5750円/右側パワースライドドア=5万2500円)

写真:ブラックを基調としたインテリア。3眼メーターにはブルー照明が備わる。拡大ブラックを基調としたインテリア。3眼メーターにはブルー照明が備わる。

写真:58psを発生する660cc自然吸気エンジン。「N BOX+」「N BOX+カスタム」それぞれに自然吸気とターボが用意される。拡大58psを発生する660cc自然吸気エンジン。「N BOX+」「N BOX+カスタム」それぞれに自然吸気とターボが用意される。

写真:  拡大  

写真:サイドビューサポートミラーは、左前輪より前のスペースと助手席横の死角を映し出す。拡大サイドビューサポートミラーは、左前輪より前のスペースと助手席横の死角を映し出す。

写真:N BOX+のウリとなるベッドモードの図。身長190cmの人が二人並んで寝られる。後席を畳み、前席を後ろに倒して、さらに「マルチボード」を渡すと出来上がる。拡大N BOX+のウリとなるベッドモードの図。身長190cmの人が二人並んで寝られる。後席を畳み、前席を後ろに倒して、さらに「マルチボード」を渡すと出来上がる。

写真:  拡大  

■実力は「軽」以上

 ホンダのスーパーハイトワゴン「N BOX」の荷室空間を使いやすくした派生モデル「N BOX+」。スポーティーバージョンの「カスタム」で、その使い勝手と乗り心地を試した。

■主役は「後席」から「荷室」へ

 「ホンダN BOX+」はテレビCMを見ていると介護仕様車のようにも見られがちであるが、実体は「N BOX」をさらに使いやすく便利に発展させた実用車である。標準型との主な違いは、広すぎた(?)後席スペースを普通のレベルに仕切り直して、標準型では狭めだった荷室スペースにまわしたことだ。

 ついでに「後席を含む荷室スペースをいろいろ変化させて使えるアイデア」をてんこもりにしている。二輪車に限らず、車いすを容易に乗せて運べるような工夫やオプション装備も用意される。個々の内容は写真を見ていただくことにして、乗った感じを報告しよう。

 今回試乗したのは「N BOX+カスタム」。エクステリアがスポーティーなバージョンの自然吸気モデルだ。

 まず最初のうれしい発見は、都市部での燃費がすこぶる良好なこと。燃費計測にあたり、借用時に完全に燃料満タンになっているとは限らないので自分自身で再度満タンにする。渋滞する都内を抜け出してから給油リセットすると、何と17.8km/リッターも走っている。アイドリングストップ機能は確実に燃費を稼いでくれるようだ。もう渋滞もこわくはない。こうなるとむしろ一度に止まっている時間は長い方がいい。頻繁なスタート/ストップはかえって燃費を悪くするというものだ。

 試乗会で乗り比べた時には、ターボモデルの方がパワーがあってファイナルも高いため、静かな走行が可能でイイ印象をもった。が、あらためてしっかり乗ってみると58psの自然吸気(NA)ユニットもなかなかいい。少なくとも3000rpm以下では十分に静かだ。緻密な感じのメカ音を発して回る3気筒エンジンには、1トンもある車両重量を意識させないだけの力がある。

■さすがホンダのエンジン

 初日は編集部からR246を通って横浜の自宅まで帰ったが、一般道での乗り心地がいい。ボディーがシッカリしているため、もはや昔の軽自動車のようなきゃしゃな感覚はない。逆に言えば、このくらい大きなボリュームを持つボディーとシャシー剛性を合わせて確保するには、1トンの重さが必要ということなのかもしれない。

 ただしシートは短距離用で腰掛け的なもの。乗降性は良好ながら、座面の後傾斜角は少なめで背面依存度が低く、腰が疲れるタイプだ。バックレストを倒してやれば角度的には上体の重さの依存度は高まるが、シートがクッションとしてややソフト過ぎるので、上体の重さのほとんどを垂直荷重として腰で受け止めることに変わりはない。これは「車中泊可能」を売りにするあまり、意識的に硬度を下げてあるのかもしれない。

 翌日は東名高速で御殿場に向かう。流れに乗るには4000〜6000rpmを多用することになり、エンジン音はやや高まるものの、「シャーッ」というきめ細かで澄んだ金属音は「さすがホンダエンジン」と思わせる。ストレスのない回り方はとても気持ちがいい。最近のエンジンは樹脂パーツの間を通り抜ける空気の雑騒音や、補機類を回すようなボーッとした類いの音が多い。久しぶりにエンジン本来のメカニカルな快音を聞いたような気がする。

 しかし問題がないわけでもない。巡航する時の高速性はいいとしても、追い越し車線を走っていて後方からもっと速いクルマが来たときなどが少々つらい。サッとパスして走行車線に戻りたいのだが、そんなときの加速はやや一杯一杯の感もある。このような急を要する状況ではターボモデルの方が有利と思われる。このNA3気筒でもCVTではなくマニュアルギアボックスであれば、もっとギアを選んで引っ張れるのになァとも思う。

■軽らしからぬ乗り心地

 フルロックで3回転半あるステアリングは、その数値から受ける印象ほどスローではない。かといって腰高なボディーをグラリと大きくロールさせるほどの入力が可能なわけでもなく、ちょうどいいところにある。グルグル回す感覚があるとすれば操舵(そうだ)終盤までよく切れる舵角(だかく)の大きさゆえだろう。4.5mの回転半径は、ホイールベース2520mmの車にしては優秀。しかし直進付近の操舵感覚はさほど安定しているわけでもなく、何かのきっかけで右に左に曲がろうとするような、落ちつかない反力がある。スクラブをゼロ付近に採る設定もこれを助長する。

 また、ステアリングのギア同士の接点が、歯形の山の上にあるような感じだが、もう少し谷間方向へズラしてやった方が力の伝達が安定するし、ステアリングの初期の応答にも良好な手応えをもたらすはずだ。この辺は慣らしが進行すればもっと良くなるかもしれない。歯当たりが多少雑に感じられるものの、価格を考慮すれば納得できる範囲だ。

 超がつく背(重心高)の高いクルマの操縦安定性を考慮して、N BOX+ではタイヤサイズが標準型N BOXの13インチから14インチへと大径化されている。サスペンションも強化してあるという説明であるが、ロールセンターがわずかに高くなったこともあって、より重心高との距離が縮まり、ロール感を安定したものにしている。昔の軽ワゴンといえば、貨商車のようにバタつく粗野な乗り心地が思い出されるところだが、このクルマはサスペンション剛性が高く、まるで「ホンダ・フィット」のアシを移植したかのようだ。

 最終的な燃費は、281.5km走って17.3リッターを消費。16.3km/リッターという結果になった。カタログ値(JC08モード)は21.2km/リッターであるが、今回は高速道路を走行した比率が高かったので期待値には届かなかった。とはいえ、数年前の軽ワゴンの実際の燃費データは2桁がやっとというありさまだったのだから、新型の燃費は確実に向上していると実感できた。都市部ではなくすいたバイパスのような一般道を流せる環境下に住んでいるユーザーで、NA仕様に乗るならば20km/リッター近くは走るだろう。

 短く全体の印象をまとめるならば、エンジン排気量は軽自動車であるが、クルマそのものは小型車の内容と乗り味をもつ。そして価格も今や小型車の廉価版より高いのである。

(文=笹目二朗/写真=荒川正幸)

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