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綱渡り続く、レース前の準備

2009年6月6日

  • 筆者 明嵐正彦

写真車体に貼るカッティングシートを印刷中写真07年のル・マン

 さて、我々は7日の日曜日に成田出発です。それまでに私がやる事は、たくさんあります。

 まず、マシンに貼るカッティングシートを制作します。ドライバー名の入ったゼッケンやチームロゴなどのデータを、愛用のMacで作ります。このデータを九段下でプリント出力をやっているいとこの会社で地道にプリント。また、現地で配るドライバーの顔写真付きのポストカードは、土曜日に手元へ届くことになっています。今週になってやっとドライバーが決まった関係で、綱渡りの連続です。

 というわけで私のスーツケースの半分はカッティングシートとポストカード、残りは簡単な着替えと必需品のカップめん&固焼きせんべいでいっぱいになる予定です。帰りはこの広大なスペースを、すべてお土産で埋めなければなりませんので大変です。

 飛行機も直行便なんていう、なまっちょろいことを言っているうちは観光客です。私は、某激安航空会社の便を使って、アジアの某ハブ空港でトランジットしてパリに向かいます。パリにはシャルルドゴールとオルリーの2つの空港がありますが、もちろん激安チケットでもちゃんとシャルルドゴールに着きます。

 ル・マンへレンタカーで行くか、高速鉄道のTGVで行くかまだ決めていませんが、TGVの方が断然楽ですよね。空港からル・マンに停車するTGVを探します。私の場合2等車で十分です。

 ル・マンに着いたらホテルに入るわけですが、この時期、ホテルは年に一度の稼ぎ時です。レースウイークは1週間単位でないと、まず貸してくれません。普段なら1日5000円の部屋が1万5000円以上、8日間で十数部屋……、計算できません。天文学的数字です。

 もし、決勝レースだけ見に来るゲストがいても8日間借りるのか? それは、スタッフはどうせずっとサーキットにいるので、その部屋を無料で使ってもらいます。ね、合理的でしょ!

 もっとも大抵の観客は、宿をとったパリに夜帰って朝また来る組と、サーキットで24時間耐久観戦をする組に分かれます。もちろん、キャンピングカーやテントで寝泊まりする人もたくさんいます。

 レースウイークのサーキットは、グランドスタンド裏からずっとコースに沿って飲食店が無数にあり、そのほか土産物屋はもちろん、射的、オートバイサーカス、メリーゴーラウンド、バンジージャンプ、怪しげなストリップまで、みんな寝る間を惜しんで稼ぎまくって……。いや、お客さんに尽くしています。

 上流階級の方には、あのエルメスが、この期間だけガラス張りの店を出店し、ここでないと買えない限定品を売ります。何と店には日本人の女性店員がいますので、お買い物も大変便利なんですよ。例えば「この棚の物、全部いただくわ」なんていうコジャレた会話ができるわけです。

 もっとも決勝レースをやっている私たちは、ピットから出る機会がないので、決勝前の金曜あたりにお土産を仕入れておきます。食い物はホスピタリティーのコックがサンドイッチとかを作ってくれますし、私は自前のカップめんを食うのが楽しみです。

 観客の決勝日のスケジュールをシミュレーションしてみましょう。土曜日の正午ごろサーキットに到着です。午後3時のスタートを見て5時ぐらいになったら、ピット裏のパドックを散歩。レースの模様は、そこいら中にある新聞社や雑誌社のブースが伝えてくれますので困りません。夜7時ごろ、つかまえたタクシーかシャトルバスで駅に向かいTGVでパリに帰って、TV観戦をしながら遅いディナーをとります。

 翌日の日曜日は朝食後、おもむろにTGVでル・マンへ。つかまらないタクシーにいら立ちながら、何とかサーキットに到着。ここでジャンクフードの昼食をとります。

 午後は、いくぶんディスカウントし始めた土産物屋で値段交渉です。「2009」みたいに年号の入っているものは来年売れないので、午後3時のゴールが近くなるほどディスカウントされる三段逆スライド方式が採用されていることでしょう。30ユーロのTシャツが10ユーロくらいまでは下がりますよ。

 でも、あまり粘っているとゴールを見られないばかりか、周りの店の人から白い目で見られるので、ほどほどにしないといけません。

 ガラガラだったグランドスタンドは、午後2時ごろから次第にぎゅうぎゅう詰めになっていきます。そして午後3時に感動のゴールを迎えるわけです。

 さてと、今年のル・マンも、いよいよお祭り騒ぎが始まりますよ!

プロフィール

明嵐正彦(めあらし・まさひこ)

JLOC(日本ランボルギーニオーナーズクラブ)広報と、スーパーGTレースはTeam JLOCマネージャー兼、87号車の監督を務める。JLOC公式サイトも制作・管理している。自動車雑誌「GENROQ」元編集長だけあって、スーパースポーツカーに関しては世界的レベルの専門家。数十万円掛けたマウンテンバイクで、浅草界隈を毎日走るのが目下一番の趣味。 JLOC公式サイト http://www.jloc-net.com/

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